スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

令和4年度歯科医療安全研修会に参加して

-医療過誤などのトラブルについて-

医療過誤などによるトラブルは交通事故の3倍起こっている。

では、どのように対応していくべきか。

●クレームの本質

大事なことは患者の本当の『インタレスト:話し手や聴き手の「心の中に隠された本当の欲求」』を

探ること。

例:患者:「入れ歯が合わない」→歯科:ずっと入れ歯調整⇒×  

    患者:「入れ歯が合わない」→歯科:(なんでこの患者さんはずっと入れ歯が合わない?)

                  →患者:(嫁に無駄遣いと言われたから、返金して欲しい)⇒本当のインタレスト

〇事故の際に患者さんは何を考えるか

・第1段階:健康被害による心理的ダメージから回復したい

・第2段階:なぜこうなったのか、真相を知りたい(誠意のある説明)

   →患者さんはどうして私だけ?と考えることが多い

・第3段階:謝罪をして欲しい

   →謝罪をしても裁判で弱くなることはなく、落ち度があったことについてはきちんと謝る。

      また、何について謝るのか明確化する。一番多い原因は説明不足である。

  ★本当に謝ることがないかちゃんと考えることが大切である。

・第4段階:2度と同じ被害がないように、再発防止をして欲しい

    →だから患者さんはクレームを言う。

・第5段階:あの歯科医師を懲らしめたい

    →1~4でしっかり対応し、満足できないと第5段階に進んで、お金が絡んでくるようになる。

〇苦情に対する対応

苦情の原因は、医療事故そのものが原因ではなく、その後の説明のまずさが原因である。 時間無制限できちんと説明することが大切。これをしないと余計に膨大な時間や労力が起こる。

〇怒りに対する対応

共感がもっとも効果的である。怒りという強力な感情は伝染するので、こちら側がもたないように気を

つける。正当化は不要で、受容のみで良い。肯定的に理解する。 共感とは、答えをいうのではなく、

オウム返しで理解することである。

〇苦情対応する際に

言語コミュニケーション25% 非言語コミュニケーション75% で判断されると言われている

→人は見た目で評価する!なので…

服装/あいづち/悪いクセに気をつける。具体的には、

・姿勢:患者に不快感を与えない姿勢/態度であったか

・アイコンタクト:患者さんと適度にアイコンタクトをとる。カルテばかりみてないか。

・うなずき:反応をして、安心感を与える。気持ちの変化に合わせてうなずきを変える

                     →共感に繋がる ・あいづち:適切に自然に行う

・沈黙:患者さんに決断してもらうときに必要になるので、穏やかな表情で次の言葉を待つ。

              最低10秒は待つ。

●エラーの段階

1.ミステイク:意図的(故意)に誤った行為をした結果エラーのこと。

※故意とは事故を意図的に発生させたではなく、誤った行為を意図的に行った場合のこと。

例:治療部位をカルテで確認しなかった。

2ラプス:短期的な記憶違いでの行為段階でエラーのこと。

例:痛み止めだすと言ったが、処方箋を書き忘れた。

3スリップ:目的は正しいが、行為段階で誤ったエラーのこと。

⇒どの段階でのエラーかを見分けることが大事である。

●感想

処置前にきちんと説明をして、医療過誤などによるトラブルは起こさないのが一番であるが、医療関係

者も人なので、時にはトラブルを起こしてしまう。では、起こしてしまった時にはどう対応するべきか

を学ぶことができた。人対人の仕事なので、理系な考えで説明をするのではなく共感をして、患者さん

に寄り添って対応していくことが大事だと感じた。 普段から、患者さんの本当のインタレストを探り

ながら、これからも接していきたいと思った。

                         衛生士 福田

  2023/09/24   ふくだ歯科

「副作用別にわかる服用薬ガイド」について、勉強会で発表して

1. 出血しやすい薬

 抗血小板薬 血小板を主体とした血栓(血小板血栓)の発症を予防するもの で、動脈血栓症

      (脳梗塞、心筋梗塞、抹消動脈血栓症など)の 治療や予防に使用される

      ※この疾患の患者さんに注意   心筋梗塞、狭心症、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患など

 抗凝固薬 凝固因子を主体とした(フィブリン血栓)の発症を予防するもの で、静脈血栓症

      (深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症など)の治療や 予防、心房細動による脳卒中や

      全身性塞栓症の予防に使用され る  

     ※この疾患の患者さんに注意   心房細動、心原性脳塞栓症、機械弁置換後、

                     深部静脈血栓症など    

                  ※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・      

                      処方医に原疾患の状態、抗血栓薬のコントロール状況について問い合 わせる

                      抜歯時だけでなく口腔ケアの際にも歯肉や口腔粘膜から持続的な出血 が観察されたら

                      抗血栓薬を服用していないか確認する

2. 口内炎・歯肉炎をきたしやすい薬

 抗がん剤、抗リウマチ薬、バイオ製剤、免疫抑制剤などで代表薬は抗がん剤

 薬が原因で起こる口内炎を「薬物性口内炎」と呼び、口腔粘膜や口唇のただ れの他、38度以上の

    発熱、結膜充血、咽頭痛、体幹四肢の紅斑が主要徴候 としてみられる  

    ※この疾患の患者さんに注意

   悪性腫瘍、関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患、高血圧など    

    ※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・   

     口腔内の処置としては、粘膜が脆弱なため、最初は歯のみのプラーク除 去を目的に清掃を行う

          粘膜清掃は洗浄のみにとどめ、積極的な擦過は行わず、二次感染の予防 を心がける      

3. 口腔乾燥をきたしやすい薬

 日本医薬品集に掲載されている薬剤全体の約四分の一である700種類以上 に口渇、口内乾燥、 唾液

    分泌減少の副作用、また、高血糖、脱水といった結 果的に口腔乾燥症状を引き起こす可能性のある

    副作用がみられる

    口腔乾燥の副作用のする薬を複数服用している場合に口腔乾燥症が発現しやすいことが知られている

  「抗コリン作用のある薬剤」と「利尿作用のあ る薬剤」など多くの薬剤が抗コリン作用を持ち合わせ

    ており、副交感神経 を抑制するため、便秘、口渇、眠気、尿閉などさまざまな副作用がある    

    ※この疾患の患者さんに注意   

  花粉症、パーキンソン病、喘息、統合失調症、過活動膀胱、悪性腫瘍など    

    ※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・   

  唾液の分泌量を増やすよう唾液腺マッサージを指導   

  保湿剤の使用など 対症療法を行う   

  粘膜刺激の原因となっている歯や義歯がないかしっかりと確認   

  口腔清掃の現状についての把握   

  食事の状況を聴取する(口腔乾燥は味覚異常や摂食嚥下障害の誘因となっていることもあるため)

【感想】   

薬を服用することは副作用のリスクも知って対応しなければならないということがわかります。

患者さんへの聞き取りや、お薬手帳の確認など丁寧におこなわなければならないと思いました。       

                                                                                             衛生士 赤木

  2023/08/30   ふくだ歯科
タグ:服用薬

「オーダーメイドの口腔衛生指導」のセミナーに参加して

口腔衛生指導とは

プラークを除去することの意義・方法を患者に示し、口腔清掃の指導を行うこと。プラークの染色や

プラークコントロールレコードを利用して、プラークの存在とその病原性を患者に説明することで、

モチベーションを高めるとともに個々の患者に適したブラッシング法、歯間部清掃補助用具(デンタル

フロス、歯間ブラシ)などの指導を行うこと。 個々の患者さんに適した説明方法、ブラッシング指導、

歯ブラシの選択、補助的道具の選択を行うことが、オーダーメイドの口腔衛生指導と言える。

口腔衛生指導の鍵

→どのような相手にどのように伝えるか

1.患者さんはどのような方?

患者さんはどんな人?仕事は?いつ来れるの?治療に協力的?など患者さんに興味を持つことが大事

患者さんから得られること

一般的な確認事項…問診票から得られる情報(主訴・既往歴・服薬の確認・職業等)

→患者さんの口腔内を見る前に確認

職業…職種、就労時間(夜勤の有無)、就労内容→OHIの参考になる

生活背景と生活習慣…家族構成、子育て中、介護の有無、生活習慣、食生活、喫煙の有無

→生活背景や生活習慣を聞き個々に応じたOHIを行うヒントになる

患者さんがどのような相手か理解できれば説明方法が変わってくる

例えば…説明を聞きたい、説明と聞くより読んで理解したい、説明を聞くのが苦手 等

男性…結論を早く聞きたい 女性は過程を詳しく話したい、聞きたい

※どのような相手なのかを理解して説明方法を変えないと、どれだけ熱意を持って説明しても通じない

 ことも…

2.相手にわかりやすい伝え方

相手にわかりやすい言葉を選ぶこと=言葉のキャッチボールが大事

伝えると伝えたつもりは違う

・専門用語を使っていないか?

・一方的に説明していないか?

・相手の反応を確認をしているか?

・自分の頭の中の言葉をそのまま話していないか?

・相手に無理難題のお願いをしていないか?

これらに気をつけながらコミュニケーションを取ることが大事 

 歯科衛生士として嬉しいこと

・口腔衛生指導により患者さんの口腔内がよくなること、よい状態が続くこと

・口腔内を通して健康観も高まり、患者さんの行動の変容がみられること

口腔内がよくなるためには患者さんのセルフケア、患者さんによる歯肉縁上のプラークコントロールが

大事 、こちら側のSRP、PMTCなども必要なこともあるが毎日のセルフケアに勝るものはない

→確実にプラークが落ちる磨き方を指導する必要がある

確実にプラークが落ちる磨き方=毛先磨き

→歯ブラシの毛先を磨きたい歯面に直角に当て、適切な力とストロークで毛先が動き、プラークが

 落ちる

 ナイロン毛の毛先の弾力でプラークをかきとること

 毛先磨きに適しているブラシ

 →毛先まで3列植毛+ラウンド毛+密植毛 

  ※こちらの歯科ではプロスペックの歯ブラシを紹介されていました

  ※毛先磨きの基本的なこと…毛先を磨きたい歯面に直角に当てて動かす  

  これをどのように伝えるかが大事

伝え方のポイント

Q.指導範囲は狭い方がいいのか?

A.狭いと患者さんの負担も少ないため集中して磨ける、結果として歯肉の変化が起きやすい

Q.染色の目的は?

A.プラークの付着状況が一目瞭然、指導時に患者さんもねらいやすい

Q.写真は必要か?

A.患者さんにお見せするのはとても大事。こちら側の指導の振り返りのためや、経過を追う意味でも

 必要不可欠

Q.見えにくい部位を指導するときは?

A.歯面に毛先が当たっているときの声かけや、プラークが落ちているときの声かけが大事

   見えにくい部位は感覚が大事なので、繰り返し確認する

   落ちた様子をすぐ画像でお見せする

Q.波及効果とは?

A.指導した磨き方を患者さん自ら他の部位にも応用して改善していること

  1ヶ所を集中して練習することで指導効率も上がる

Q.患者さんのきちんと磨けるようになりたいという要求に応えるには

A.わずかなプラークでも確実に落とせることが出来るようなテクニックと歯ブラシが必要になる  

Q.音波ブラシでの指導は?

A.患者さんが磨きたい歯ブラシでプラークがきちんと落ちるか確認する

  音波ブラシが指導時になくても、手用歯ブラシで練習することで音波ブラシの使いこなしも上手に

     なる

〈感想〉

今回のセミナーでは、他の歯科の衛生士さんがどのような口腔衛生指導をしているのか詳しく知れて

勉強になりました。普段はバス法メインですが、炎症が少なく全体的にプラークが多いような患者さん

には毛先磨きも効果的だと思うので患者さんに応じて使い分けてTBIできるようにしっかりポイントを

押さえておこうと思いました。 伝え方に関しても、あまり関心がなさそうな方には無理に多く説明

しないようにしていましたが、もしかすると説明の仕方によっては聞き入れてもらいやすい方法もある

かもしれないと感じたので取り入れていきたいと思います。

                            衛生士 星島

  2023/08/11   ふくだ歯科

「令和のカリオロジーアップデート講座」を読んで

う蝕原因菌に関するQ&A

Q1 う蝕原因菌はミュータンス連鎖球菌だけ?  

→× う蝕原因菌の種類は非常に多い

 昭和の常識 う蝕原因菌はミュータンス連鎖球菌とラクトバチラスだけとされていました。

 令和の常識 ミュータンス連鎖球菌とラクトバチラスが最強のう蝕原因菌だが、この2つの菌種

       ほど強い酸を出さない菌種もう蝕原因菌のリストに加えられました。

Q2  歯肉縁上と歯肉縁下のプラーク細菌の種類は同じ?

→× 歯肉縁上にはう蝕原因菌が、歯肉縁下には歯周病原性菌が住む。

 昭和の常識  プラーク細菌叢の解析は細菌培養法でしたが、実際には培養できない細菌種の方が

        はるかに多い状況でした。特に歯肉縁下には空気中では培養できない嫌気性菌 (酸素

                          を嫌う菌) が多く生息していたため、歯肉縁上と縁下の細菌叢の違いについてよく

                          わかっていませんでした。

   令和の常識 プラーク細菌のDNA (デオキシリボ核酸)やRNA (リボ核酸)の塩基配列をすばやく判別

                        する画期的な細菌検査法の登場により、プラーク細菌叢の解析が一気に進みました。

                        その結果、歯肉縁上と縁下では性質の異なる細菌種が生息していることがわかり

                        ました。

Q3 う蝕の原因は砂糖だけ?

→× う蝕の原因は砂糖だけでなく発酵性糖質。 

 昭和の常識 う蝕の原因は砂糖と考えられていました。  

 令和の常識 う蝕原因菌は発酵性糖質(ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理でんぷん)を摂取して酸を

                         産生します。

Q4 う蝕原因菌の母子伝播は絶対に避けるべき?  

→× それほど神経質にならなくてもよい。

   昭和の常識 う蝕原因菌は感染の窓と呼ばれる生後19か月~31か月の期間に両親から伝播すると

                         言われていました。  

   令和の常識 う蝕を発症させるすべての細菌種の伝播を防ぐのは難しい。食事指導やフッ化物の

                         使用、適切なブラッシングで発症が予防できるため、それほど神経質になる必要はない

                         という考えが広がっています。

Q5 口腔細菌叢はつねに一定?

→× 種は変わらないが、菌量が増える細菌種と減る細菌種がいる。

 昭和の常識 口腔細菌叢は長い時間の流れの中で絶えずゆっくりと変化し続けると考えられていま

                         した。

 令和の常識 菌量の比は頻繫に変化します。

Q6 落としやすいプラークと落としにくいプラークに違いはある?  

→〇 プラークの粘着性はう蝕原性に関係あり。

 昭和の常識 すぐ落ちるプラークとなかなか落ちないプラークの違いまでは分かりませんでした。

 令和の常識 バイオフィルムのマトリックス(基質)として、微生物を包み込み、歯面に固く付着

       し、酸を内包します。なかなか落ちないプラークは歯面に強固に付着できるマトリック

       スで出来ているという違いがあることが分かりました。

Q7 ブラッシングは食後30分後が歯に優しい?  

→× ブラッシングは食後すぐがいい。  

 昭和の常識 ブラッシングは1日3回、食後3分以内に、3分間磨くでした。  

 令和の常識 平成では、食後すぐに歯を磨くと食事中に表層脱灰されたエナメル質を傷付けるため、

       唾液による再石灰化で表層脱灰が修復される時間を置いた方がいいとされてましたが、

       これは酸蝕症に関する話でした。う蝕予防の目的は、酸を産生する細菌のエサとなる

       発酵性糖質を取り除いて、酸を出させないようにすることのためブラッシングはすぐに

       するほうがいいとされています。

Q8 ブラッシング後に口はすすがなくてもいい?  

→〇 フッ化物入りの歯磨剤を使った後はすすがない。  

 昭和の常識 よくうがいして歯磨剤は口腔内に残さないのが当たり前でした。  

 令和の常識 日本歯科医師会は歯磨剤に含まれたフッ化物の効果を最大限に発揮させるため、少量の

       水で1回だけのすすぎをすすめています。

感想

学生時代に学んだことも医療は日々進化していくため、古い情報を患者さんに誤って伝えないよう更新

していく情報をこれからも取り入れ伝えていこうと思いました。      

                        衛生士 岡崎

  2023/07/17   ふくだ歯科

「頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」に参加して

1.奥山洋実 歯科衛生士

(歯科衛生士としての目標)

・患者さんに情報を伝えて歯の健康に目覚めてもらい、行動変容を促す

(奥山さんの過去)

・1986年の歯科医院→先生が削って、衛生士が埋める

↳・歯周病は歯がグラグラになってから来院(抜歯になることも多い)

  ・全てにおいて痛みなどの症状が出てから来院

  ・助手もスケーリングをしていた→歯科衛生士は先生の“お手伝いさん”

・患者さんによくなって欲しい気持ちが先走り、意見を押し付けてしまう…

 ↳逆に不快感を与えてしまい、治療中断になる事も経験した

(患者さんとの信頼関係の築き方)

・初診を任せてもらう、担当歯科衛生士になるには…?

↳・生活背景、家族背景、職業や役職を会話の中から聞き取り、患者さんへの心に響く 情報提供をして

     健康意識を上げる  

  ・一人一人を啓蒙者に「なるほど!他の人にも教えてあげたい」と思う指導を心がける

 ※啓蒙…知らない人を教え導く

 ・歯科衛生士として結果を示す

  ①臨床の成果

   症例発表;・資料の規格性

        ・患者さんへの健康意識を高める

        ・歯周基本治療の施術力

  ②経営的成果

   アポイント管理;・キャンセル率・継続率

(奥山さんが思う歯科衛生士の課題)

自分の指導が正しければ、患者さんがもっと美味しく食事ができて、健康で生き生きとした毎日を

送っていたかもしれない。近年、国民は歯の不具合が無くても、定期的に歯科医院を通うようになって

きた。その分、多くの国民は生涯、自分の歯で食事をしたいと望んでいるのではないか。歯を守るべき

私たち歯科衛生士は、その国民の切なる願いに応えられているだろうか。メインテナンスは快適になる

ためのお掃除だけではない。保険のSPT(歯周病安定期治療)をこなすことでもない。どうか歯の健康

を守る歯科衛生士としての予防歯科医療をするべきだ。一人一人が結果を出して、歯の健康を守ると

いう本来の使命を全うし、歯科衛生士の価値を上げていく必要がある。

2.安藤千晃 歯科衛生士

(安藤さんが考える歯科衛生士が抱える責任)

・担当の責任性

↳・患者の未来が変わる

・100点の答えを出さないといけない

↳結果ばかりをみて、患者の意見に応えることができない

・伝わる話し方

↳焦って言葉に詰まり、本来伝えたいことが伝えられない

(OHIにより行動変容できた例)

・生涯、歯科医院に関わってもらうベースを作る

↳一回一回の来院を大切にする

・気持ちの汲み取りを上達させる

↳知識が増え、リスクをより深く考察できる

 ↳患者さんの口腔清掃に対する意識の変化

・SRPが上達、自信がつく→患者さんの信頼を得ることに繋がる

(若い人の世代に危機感を持ってもらうためには)

・これから年を重ねていく上でどのような人になりたいか?

・どう年を重ねていきたいか?

(例)「自分の歯を失うことを想像できますか?」

   ↳今が、早い時から健康を作っていく、大切な時期であることを気づかせる

(安藤さんが歯科衛生士になって身についたスキル)

★時には人に頼る

★患者さんの本当の感情に気づいて受け止める

★人間性を磨く→心が上達すると、自然と技術もついてくる

3.感想

歯科医院によっては自分が担当する施術や対応が違うのを利用し、積極的に他の医院の方針と自分が

思う歯科衛生士像を照らし合わせて頑張っている奥山さんの姿に感心しました。

自分ができることや技術を磨き、TBIのバリエーションを増やしていきたいと思いました。

目の前のことをこなすだけではなく、患者さんをどのように改善させていきたいのか、しっかり寄り

添った歯科予防をしていきたいです。                                   

                       歯科衛生士 小鐵 

  2023/07/12   ふくだ歯科

歯科衛生士根石さんの発表をきいて

「歯科衛生士になってよかった~人のためにできること~」

●症例1

49歳 男性

主訴:検査・クリーニング希望

歯科既往歴:4・5年前に治療

定期健診を会社から推奨されていたけれど、歯科医院が苦手でなかなか足が進まなかった。

そのため、今回も通えるか不安がある。

・どのような対応をしたか

丁寧に時間を掛けて説明 患者さんの希望を聞く 診療の1/3はお話をする

・結果

セルフケアをどのようにしたら良いか、熱心に聞いて頂ける関係性を作ることができた

→笑顔で通っていただけることで、やりがいを感じることができ、セミナーでSRPを学ぶ意欲になった

●症例2

54歳 男性

主訴:検査・クリーニング

既往歴:歯周病と言われた

特に何もしたことない

→このことから、危機感がないと感じた

・どのような対応をしたか

デンタルでの多量の縁下の確認ができたため、除石を行った

・結果

課題:縁下を取り切れずEXTになった歯があること

   SRPに捕らわれTBI不足になったこと

歯の大切さを伝えることができ、患者さんの意識の改善ができた

→患者さんと良い関係性を築くことができた

●症例3

57歳 男性

主訴:歯茎が痛い しみるところがある

既往歴:歯周病と言われた

10年前から歯医者に通っておらず、必要なところを最短で治してほしい

・どのような対応をしたか

口腔内所見とデンタルから、全顎的に縁上縁下歯石が多量にあることを確認

・結果

課題:残石があった

初来院時はブラッシングへの意欲も低く、ご自身でどれくらいの時間ブラッシングをしているのかの

意識もなかったが、今では時間をかけて磨いて頂けるようになった

●歯科衛生士という仕事へのモチベーションを上げる方法

・セミナーなどで頑張っている人を見る

・仕事でのモチベーションの高い友達と会う

・歯科衛生士をしてよかったことを具体的に考える

・長い目で見たときの人生のポジティブな目標を立てる

●奥山さんへのQ&A

Q、大きい歯石や深いポケットでの除石の方法

A、縁下は超音波ではなく、キュレットでミニファイブの細いタイプで取ることが多い。

また、しっかりレストを置き、一回で全て取ろうとするのではなく、数回に分けて取っている。

キュレットはしっかり研ぎ、使っていくことで、自分のキュレットを育てる。

探知はしっかり行い、小さいストロークでは、歯石を丸くしてしまうので、深いところから大きい

ストロークで取るようにする。また、根面と平行に当てられてないと、歯石の表面をつるつるさせて

しまうので、きちんと平行に当てるようにする。

→この探知力をあげるために、抜去歯牙を箱などで見えなくし、歯石を取ってみる。

 その後、取れて いるか確認をし、ちゃんと取れたという感覚を覚えるようにする。

Q、出産後の働き方

A、いろんな経験は自分のプラスになる。技術的ではなく、幅を広げる時期と考えるようにする。

子育ては待ってくれないか、仕事は待ってくれるので、ちゃんとこどもをみてあげることが大切だが、

仕事を楽しめなくならないように追い込みすぎないようにする。

子育ても歯科衛生士人生も楽しむ ということが大切である。

 

●感想

根石さんの歯科衛生士になったプロセスは、私とよく似ており、共感できるところや、今後自分が

どういう風に仕事に向き合っていくべきなのか、参考にできるところがすごく多かったです。

歯科衛生士としてはもちろん、女性として、どのように社会で過ごしていくかという点で“楽しむ”と

いうことがとても大切であると感じました。 もっと、技術力や経験値を上げ、患者さんに出会って

よかったと思える歯科衛生士になれるよう、今度も意欲的にがんばっていきたいです。

                    衛生士 福田

  2023/06/07   ふくだ歯科

お口が渇きがちな患者さんの口腔ケア&保湿剤活用術について、勉強会で発表して

下準備&観察のしかた  

1・バイタルチェック     

□自覚症状・他覚症状の有無(しんどさ、息苦しさなど)     

□客観的評価        

 〇意識レベル      〇脈拍        〇体温         〇SpO2   

2・体位調整     

 誤嚥予防と安全安楽を確保      

  座位が可能な場合   90度座位のまま頭部前屈に注意 足が安定      

  ベッド理想体位    30度リクライニング頸部前屈位      

  誤嚥リスク高い場合  頭部を横向き             

     ↑        

  無理な姿勢ではないか、苦痛表情がないか、患者さんの身体に

  力が入っている箇所がないかを確認する  

3・口腔内の状態の把握     

 観察チェックリスト      

  〇歯の状態(歯数、う歯、補綴装置)      

  〇口腔衛生状態      

  〇義歯や動揺歯の有無      

  〇舌・口蓋・頬粘膜の汚染物の付着      

  〇潰瘍や出血の有無      

  〇唾液の性状(粘膜・泡状)  など      

  泡状唾液        

   口腔乾燥がある場合、唾液は所見では泡状になっており、触ると   

   粘性になっている。特に最後臼歯部あたりや舌縁を確認するとよい。

不快感軽減&保湿を持続させるための口腔ケア    

1・加湿とマッサージ     

 汚れを浮かせて、除去しやすくする      

 まずは加湿して軟らかく       

 グローブを装着した指に水やマウスリンスをつけて口腔粘膜を ゆっくり優しく触っていく       ↑

 付着物があるかの確認・マッサージ効果・リラクゼーション             

 大きな汚染物はこの段階で除去をしておく  

2・口腔清掃     

 補助用具を用いりながら、傷をつけないことを最優先にする      

  歯ブラシは軟らかめ      

  強固に付着している汚染物等はシングルタフトブラシ(軟らかめ)使用       

  浮き上がった汚染物がまた乾燥することもあるので、ブロックごとに スポンジブラシや

  口腔ケアシートなどで汚染物の回収をする    

3・含嗽と口腔内清拭     

 除去したものは、残らず回収する       

  含嗽可能な場合   しっかり吐きだせているか確認                 

            水分が残留しやすい舌下は、必ず確認する       

  含嗽が困難な場合  スポンジブラシや口腔ケアシートで口腔内 全体を清拭する

   必要な水分や唾液まで拭い取りすぎないように注意し、適度の 湿潤状態を保つ。

   ケア後乾燥している時は、保湿スプレーなどで 再度加湿しておく    

4・保湿     

 口腔ケア後のうるおいをキープするため保湿ジェルを薄く塗布する

 

【感想】

口腔ケアをした後の保湿をあまり重視していない方も多いと思う、保湿 の重要性をアプローチするのも

必要。  

                        衛生士 赤木  

  2023/05/17   ふくだ歯科
タグ:口腔乾燥

歯科医療安全研修会に参加して

歯科診療時に知っておきたいHIV感染症の知識

1.後天性免疫不全症候群

類型:五類感染症、全数把握

病原体:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

BSL:BSL3(biosafety level 3)

伝搬様式:HIV感染者との性的接触、血液感染、母子感染

無症候期:数年〜10年〜

治療・予防:HIV感染が成立した際の治療(ART:antiretroviral therapy) 

     主に就業時にHIV曝露した際の予防(PEP:Postexposure prophylaxis)

     HIV陰性者が内服する予防(PrEP:Preexposure prophylaxis)

     妊娠時の抗HIV薬服用による母子感染予防 ※HIV感染症は疾患名であって、AIDSとは免疫が著しく低下した状態のこと

2.急性HIV感染症の症状、身体所見の頻度

3.血液曝露後の対応

肝炎ウイルスを怖がらずにHIV"を気にするとしたら…

針刺し:HIVというウイルスの場合

○針に含まれる血液量は医科で使用する18~20Gの針で1μℓ前後。歯科の針だと27~30Gで細いのでもっと

 少ない

○HIV RNAが20コピー/㎖なら1μℓ中に0.02個 ※HIV RNAが10万コピー/㎖(治療していない人のレベル)で

 あっても1μℓ中に100個

○感染能力のあるHIVウイルス粒子は1000個中1個

↓そのため

治療によって数値のコントロールが出来ている患者の場合、1回の針刺し事故で曝露する感染性粒子数

は、HIV RNAが20コピー/㎖なら0.00002個。HIV RNAが10万コピー/㎖あったとしても0.1個  

標準予防策を取ること、安全器具をとること、PEP

これらを行うことで、日本国内では職業状のHIV感染例は0件!

対策をきちんとしていれば医科も歯科も感染は起きていません。

・標準予防策(Standard Precautions:SP)

・感染経路の特徴と主な原因微生物

・ 抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)

PEPとは、曝露後予防(Post exposure prophylaxis)の略語です。HIVに感染したかもしれない行為の後

(曝露後)72時間以内に、抗HIV薬(HIVに対する治療薬)の内服を開始して、HIVに感染するリスクを低下

させる予防策のことをいいます。PEPが開始された場合、1日1回か2回(選択された組み合わせにより

異なります)の内服を28日間続ける必要があります。

〈感想〉

今回の研修で、万が一針刺し事故が起きても感染するリスクはとても低いというのが驚きでした。

和田先生が、HIVの患者さんも服薬していれば健康な人と同じような生活ができるので、皆と同じ

ように歯科に行きたいと思っている方もたくさんいると言われていました。もちろん、普段から感染

対策には気を付けていますし、針刺しにも引き続き注意が必要ですが、必要以上に不安がるのは患者

さんに伝わって不快な思いをさせてしまうかもしれないので、正しい知識を身につけて、自分も守り

ながら患者さんにも安心して治療を受けていただけるようにしたいと思いました。

                              衛生士 星島

  2023/04/12   ふくだ歯科
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歯科衛生士に必要な臨床力について、勉強会で発表して

分析力の中に

*病態を診る目

 口腔内外診査、咬合診査、X線診査、臨床診査があります。

*人を見る目

 関係を築くスキル、聴くスキル、伝えるスキルがあります。

病態を診る目

・口腔内診査

 歯周組織診査(PD,CAL)、硬組織診査(歯牙、歯槽骨、歯列)、

 軟組織診査(歯肉の性状、病的な歯肉形態、舌、頬粘膜、付着歯肉、小帯)

・口腔外診査

 全身バランス(肩のバランス、首の傾斜など)、顎関節(顎関節の位置、下顎正中の編位など)、

 顔貌(口唇の傾き、口角と目の位置など)、顎骨形態、口腔習癖(口呼吸など)、

 態癖(頬杖、睡眠態癖など)

・咬合診査

 問診、視診、触診、レントゲン診査から異常所見と過剰な力を察知してその原因を探り患者さんへ

 悪習癖の気づきを与えブラキシズムやTCHの指導などに取り組む事が必要

・X線診査

 デンタルX線、パノラマⅩ線、歯科用CT、頭部規格X線

 1病態や原因を知る 2骨内欠損の有無・形態の把握 3治療方針を考える

 4歯周治療やメインテナンスに活かす

・臨床検査

 歯周病原細菌検査(RedComplex)、血液検査(生化学検査、血液学検査、糖尿病検査)

人を見る目

 関係を築くスキル(個の違いに適応するスキル)

 聴くスキル(価値観や考えの違う相手を受け入れる、相手を尊重し傾聴する、情報を得る)

 伝えるスキル(伝える内容を明確にし相手が理解できるように表現)

  関係を築くスキル

   分析、ライフステージ

   ライフステージの中で患者さんはどこにあたるのか

   1どういう時期にあるのか(ライフステージのどの時期か)

   2どんな状況か(心、身体、生活の問題)

   3口腔に問題はあるか(病態)

   4今、何をすべきか(どうコントロールしていくか)

  聴くスキル

   傾聴 アクティブリスニング、あいづち:共感フィードバック

      反復、言い換え:要約フィードバック

   質問 効果的な質問  

      閉ざされた質問  

      開かれた質問

   配慮のある聴き方

  伝えるスキル

   話し方 

   明瞭な言葉 3つのトーンペーシング(声の大小、スピード)

          センテンスは短く 意図的な間

   伝え方

   アイコンタクト、繰り返し

   接し方

   相手を納得、理解させる接し方

 感想

患者さんの病態は院長と情報を共有、理解し患者さんにあった説明をしなくてはいけないと思い

ました。衛生士は患者さんと接する機会が多いため、患者さんの性格や特徴を把握しその方に

あった対応をしていきたいと思います。

                    衛生士 岡崎

  2023/03/01   ふくだ歯科
タグ:臨床力

「第8回 頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」に参加して

山本早織さん(歯科衛生士)

『子供の笑顔が原動力~苦悩と葛藤から見つけた私らしくいられる場所~』

三宅ハロー歯科で勤務されています。

小児歯科学会認定歯科衛生士を取得され、医院で主任に昇格。育児と仕事を両立させるために努力

されたそうですが、最初は苦悩も多かったそうです。医院ではキャリアと年齢がちょうど真ん中で、

後輩のアイデアと先輩の意見の調和が難しいと痛感したこともあるそうです。得意な小児歯科診療で

医院に貢献したそうです。 小児歯科では、いかに泣かさずに、歯医者を好きになってもらうかは歯科

衛生士次第とおっしゃっていました。泣いている子供に対しても褒めるところを見つけ、3wayなどの

器具は「シャワー」と呼んだりして、子供に遊び感覚で楽しんでもらえるよう工夫されていました。

金中章江さん(歯科衛生士)

『歯科衛生士人生を振り返って』

MAEDA DENTAL CLINICで勤務されています。

院長から主任を依頼され、細かいところに気づいて動けるマネージャーのような主任を目指し、

スタッフとのコミュニケーションを大事にされているそうです。 歯周炎の患者さんが来院されたとき

は、歯科衛生士の治療方針を決め、どうすれば改善するか考えているそうです。患者さんのセルフケア

を確立させるために、意識改革で来るような声掛けを工夫してされていました。SPT移行時には、治療

開始時と現在の写真を見てもらい、モチベーションの向上をはかっているそうです。

髙原千尋さん(歯科衛生士)

『出会いに感謝し、学びについて考える』

山脇歯科医院で勤務されています。

育児と仕事に追われ、歯科衛生士業務に対してやりがいを感じられていない時期があったそうです。

そこで一度退職し、違った業種で働いたことで、歯科衛生士の仕事の魅力に気づくこともあったそう

です。復職し、自身の行いに対して成果がでるとやりがいが得られることを実感し、楽しんで仕事が

できているそうです。 患者さんとの信頼関係を築くために、話すペースとトーンを合わせ、緊張を和ら

げるようにし、治療時には、痛みを与えないように歯肉の状態や歯根の形態を意識して、スケーラーの

ブレードの太さを検討することや、挿入角度を注意しているそうです。

川崎律子先生

『臨床って楽しい!~しごとに夢中になれるエッセンス~』

東京の長谷川歯科医院で勤務されています。

歯科衛生士になり、26歳の時ご結婚され、退職されたそうです。その後復職し、大学の非常勤講師と

しても働かれていました。日本歯周病学会認定歯科衛生士、日本審美学会ホワイトニングコーディ

ネーター、日本口腔インプラント学会認定インプラント専門歯科衛生士の資格も取得されています。

「長い間一人の患者を見ていくことは、自分がやってきた治療やケアの結果を見ること」とおっしゃ

っており、これが歯科衛生士を長く続けているわけのひとつなのだそうです。

<感想>

小児対応に対して苦手意識があるので、褒めることや、楽しく治療できる工夫を取り入れたいと思い

ました。まだできないことや勉強しなければならないこともたくさんありますが、自分が先輩になった

時に、円滑なコミュニケーションや的確な治療ができるように努力したいです。治療後に悔しさや達成

感を感じることがあるのですが、今回の講演を聞いてそれが仕事のやりがいへと繋がるとわかった

ので、これを大事にして、経験を積んでいきたいです。

                                   衛生士 國只

  2023/02/23   ふくだ歯科