スタッフレポート

歯ぎしり

「ブラキシズム患者さんへのチームによるアプローチのしかた」について、勉強会で発表して

 

  • ブラキシズム患者さんへのチームアプローチ重要性
    • 歯科衛生士の指導:患者さんのセルフコントロールを促すためのアプローチ
    • 歯科医師による治療:口腔内の力による影響の原因除去や口腔を力から守るための

口腔内環境の整備

  • 歯科衛生士による指導

 

Step1:導入=動機づけ

  患者さんが自分のもつさまざま症状にブラキシズムが関連していると理解できる

  ようになってもらうことが必要。

 

        ブラキシズムと関連があるとみられる患者の症状:

時間の経過の短い急性的な症状:

    知覚過敏症、部位を特定できない歯痛、顎顔面痛、咬合性外傷や歯周組織の急性症状、歯の破折など

    時間の経過の長い慢性的な症状:

      欠損の拡大傾向や義歯の度重なる破損、多発的な歯の破折、歯の摩耗や歯の劣化傾向など

 

  

Step2:いつ,どんなときにブラキシズムがあるか自覚してもらう=気づき

    患者さんが自分にはいつ、どんなときにブラキシズムがあるかを自覚してもらう

ようアプローチする。

     ◎日中の問題から自覚してもらう

       無意識に力が入ってしまうことがあるか;仕事中、家事

       そこまで力は入っていないが無意識で行っている;歯列接触癖(TCH)

 

     ◎夜のブラキシズム

       無意識下で行われるため、最初から気づいてもらうのは困難

                 ↑

       問診から考察する方法、スプリントを用いた診断で診査する

 

    *患者さんが自分の口腔内の変化に危機感をもち、本気でブラキシズムをやめたい    と自然に思ってくれるようになることが大切。

 

 

 

 

 Step3:セルフコントロールの実行

    解決の難易度の低いものから具体的なセルフコントロールの方法を伝える。

     ◎TCHや日中の筋肉の緊張をやめることから始める

       ①顔の表情筋や咬筋などの咀嚼筋を1日中リラックスさせるよう意識してもらう

       ②食事のとき、20~30回を目安に咀嚼を意識しながら、弱めの力で噛んでもらう

 

       *強いストレスを感じている患者さんの場合:

            私たちがストレス自体を取り除くことは不可能

               ↑

           ・話を聞いてあげるだけで十分かもしれない

 

   ◎夜間のブラキシズム

    無意識に力を抜くことができるようになれば、夜間のコントロールも良い状態に向かっていく

                                        

       *夜間の強力なブラキシズムへのアプローチが必要となる場合

               ↑

         ・自律訓練法などを応用して筋肉の緊張感をとる

         ・夜間にブラキシズムをまったくしていない自分をイメージし、

          全身の余計な力を抜いて眠りにつくよう指導する

 

  • 歯科医師による治療:ブラキシズムの力から守るアプローチ
    • 患者さんが比較的若く、残存歯が多い場合

  ブラキシズムが将来の口腔内へ及ぼす影響について啓発。

  • 顎関節症状が主訴の場合

  顎関節症の診断をし、疼痛の緩和や機能障害に対する処置を行う。

  :消炎鎮痛剤の投与、開口訓練などの顎関節運動療法の指導、スプリント療法など、生活指導や保存的療法が中心となる。

*再発を繰り返している、症状の緩解がとれない場合は、ブラキシズムなどの力の関連性を疑いTCHのコントロールを中心に指導していくことで対応する。

  • 欠損が拡大傾向にあり咬合支持が少なくなったり、歯周病の進行が進んで咬合維持 

を損失している場合 処置自体が極端に難しくなる。歯周治療や欠損治療を行い、左右の偏りのない咬合を整え、ブラキシズムに耐えうる口腔内環境をつくることが必要になる。

 

 

《まとめ》 

   ブラキシズムは無意識に行ってしまう行動なので、患者さん自身では見つけにくいことが考えられます。そこで、歯科医師や歯科衛生士などがその徴候に気づくことで早期の対応へつなげることができるので、患者さんへの関心度は常に高くなければならないと思った。    

                                                       衛生士 赤木

  2014/09/24   ふくだ歯科
タグ:歯ぎしり

「ブラキシズム患者さんに歯科衛生士ができること」について、勉強会で発表して

                                                                             1)患者さんの徴候に気付こう

 歯を失う原因の多くは、う蝕や歯周病の進行

 →歯を失った結果、咀嚼能力が減少し、咬合のバランスが崩れ欠損が拡大!!

  しかし…

  最近では、そのような患者さんの中に過剰な力が原因で歯を失っている場合があることがわかってきている。

  過剰な力…夜間のブラキシズム、日中のくいしばり、咀嚼時の過剰な咬合力や偏咀嚼etc.

  過剰な力にもかかわらず、患者さんは普通に生活していることが多く、歯科医療者でさえも認識できないこと

  もある。本人にとって日常の習癖になっていれば、なおさら自覚はないもの

   ⇒歯科衛生士が問題意識をもって口腔内を診ることで、その徴候に気付き、適切な対応へと早期に

     つなげることができる。

 

ブラキシズム患者さんに歯科衛生士ができること

◆意識して口腔内を診たり患者さんとの会話から、その徴候に気付く

◆習癖に対する指導

 

 

2)ブラキシズムとは?

①ブラキシズムは異常機能運動

  →アメリカ口腔顔面痛学会のガイドラインでは、昼間または睡眠時の咬みしめ、緊張、歯ぎしり、臼磨運動を

    伴う異常機能運動としている。

    ※特に夜間ブラキシズムは、昼間より意識レベルが低いことから、過大な筋運動が発揮されることに

      よって、顎口腔系にさまざまな障害を及ぼす可能性が指摘されている。

 

②原因はさまざまで、因子が複雑に関連しあって発現する

◆心理社会的因子→ストレスや性格、気質

(ストレス性のライフイベントなどがブラキシズムレベルを上昇させる)

◆身体的因子→身体の疲労や口腔内の咬合異常

(ただし、咬合異常がある人に特徴的にブラキシズムが出現するわけではない)

        ※ストレスや咬合異常がない場合においても、習癖として中枢神経系に記憶されてブラキシズムが

          発現していることもある。

 

③必ずしも異常機能運動ではないとする説もある

 ブラキシズムはすべての人間が行っている可能性があり、ブラキシズムの力が小さく頻度が少ない場合には、

 影響を及ぼさないことが大半。

 →ブラキシズムが過剰力である場合や、ストレスやライフイベントなどが原因でブラキシズムが増強した場合に

   障害が発現すると考えられる。

 

 

3)どの場面でどんな徴候に気付くべき?

①初診時の問診や診査時からわかる徴候

問診

■今までに他人から歯ぎしりの指摘を受け、自分でも自覚している

■歯磨きはしっかりやっているが、いつも歯科医院に通っている

■顎がすぐに疲れてしまい、だるくなる。

■朝起きたとき疲れがとれていない

■口が開きづらいときがある(特に起床時)

■疲れてくると頭痛が度々ある

■修復物など詰めものがよくとれる

■以前に歯が割れたことがあったり、自然に歯が抜けたことがある

■歯がよくしみる

 

 

口腔内診査

■口唇の力が強い

■口が開きづらい

■咬筋が発達して、エラが張っている顔貌

■舌や頬粘膜に歯の圧痕がある

■エナメル質表面の亀裂、欠損、着色がある

■切縁や咬合面の磨耗、ディンプルがある

■修復物の脱離や二次う蝕が多い

■知覚過敏の歯が多い

■下顎隆起など骨隆起が多発

 

 

②治療時にわかる徴候(※中等度以上のブラキシズムを疑ってよい徴候)

■歯肉の炎症の治癒に時間がかかる

■歯周ポケットの再付着が遅い

■根分岐部病変が上下顎左右側に存在する

■隣接面の歯周ポケットより頬舌的な歯周ポケットが深い

■SRP後に知覚過敏がでやすい

■固定がとれやすい

■暫間修復物(レジンテンポラリーレストレーション)の磨耗がひどい、

暫間修復物の脱離、破損が頻繁に起きる

■補綴物仮着中のセメント溶解がすぐに起きる

■歯の動揺が止まりづらい

■特徴的な歯根膜の拡大がみられる

 

 

③メインテナインス時にわかる徴候

■多数歯の知覚過敏や、場所が特定できない歯の痛みを訴える

■特定部位に歯肉の炎症や歯周ポケットが形成されている

■フレミタスや歯の動揺がみられる

■咬耗、磨耗などが顕著になってきている

■顎の疲れや口の開きづらさが出現する

■起床時の顎のこわばりや頭痛、肩首の疲労感を訴える

■ストレスの大きいライフイベントが起きた

 

 

【感想】

咬合性外傷の症状を有する患者さんは、本当にたくさんいらっしゃいます。

私自身もブラキシズムによる咬耗があり、咬合痛や知覚過敏の症状がでることもあります。

様々な障害を及ぼす可能性があるブラキシズムですが、本人に自覚症状のないままに進行していく危険性も

あるため、私たち歯科医療者が十分に口腔内を観察し早期に気付くことで、大きな障害に拡大する前に防御して

いけたらと思いました。

                                                           衛生士 西内 

 

  2013/04/07   ふくだ歯科
タグ:歯ぎしり

「寝ても疲れがとれない 発覚!悪魔の歯ぎしり」について、勉強会で発表して

寝ている時のクセ“歯ぎしり”は、周囲が迷惑なだけでなく、本人にも様々な問題を引き起こす元凶。

口の中がボロボロになるだけでなく、頭痛、腰痛、ひざ痛など全身の痛みを引き起こすこともある。

 

あなたの歯ぎしりはどのタイプ?

歯ぎしりには、色々な種類がある。

◇「口破壊」歯ぎしり…歯が削れたり、ある日突然割れてしまったりと、口の中がボロボロになってしまうタイプ。

◇「全身破壊」歯ぎしり…なぜか、歯から遠く離れたひざや、腰、頭など全身に症状が出るタイプ。

◇「良い」歯ぎしり…なんと歯ぎしりをすればするほど健康になるというもの。

 

恐怖!「口破壊」歯ぎしり

●「口破壊」歯ぎしりは、「歯の磨耗・破損」から、二次的に「知覚過敏」「歯周病」「虫歯」を引き起こすことがある。

 ひどくなると、小さく歯がすり減ってしまったり、突然歯が割れたりして激痛となる場合もある。

 「歯ぎしりの力」を測ってみると、起きている時の2倍~4倍もの力で歯ぎしりをしていた。

 ちなみに、歯ぎしりの力の強さと、音の大きさは関係ない。

 

健康に「良い」歯ぎしりとは?

起きている時よりも小さい力で歯ぎしりをしていたグループが「良い」歯ぎしり。

具体的に何が良いのか?

いやな胸焼けや胃のもたれ、時には、激しい胸の痛みが襲う病気「逆流性食道炎」。

胃酸などが胃から逆流することで、食道に炎症がおこるこの病気を、歯ぎしりは防いでくれる。

歯ぎしりによって歯をかみ合わせると、反射的に唾液が出る。

この唾液を飲み込むと、食道に逆流した胃酸を中和するので、炎症を防いでくれる効果がある。

他にも、ストレス物質が減るという研究や、血糖値や血圧が下がるという研究結果もある。

実は、歯ぎしりは多かれ少なかれ誰でもしているもので、軽い力で歯ぎしりをしている分には、体に良いものと

いえる。

 

カンタン!「口破壊」歯ぎしりの見分け方

では、自分がしているのは「悪い」歯ぎしりなのか、「良い」歯ぎしりなのか?

すさまじいパワーが歯や口にかかっているがゆえに、「口破壊」歯ぎしりをしている人の口の中には3つの

特徴的サインがある。

 

① 骨隆起   比較的骨が出やすい場所…下アゴの舌の下、上アゴの真ん中指で口の中を触るとわかる

      「ふくらみ」ができることがある。長いあいだ強い力がかかることにより、ひずみが生じた部分の骨が

      変形してしまってできると考えられている。ただし、骨が出ること自体は病気ではないので心配はない。

 

② くさび状欠損   歯の根元だけ欠けてしまった状態。

    強い力で歯が揺り動かされることで、根元にひびが入り、その部分に歯みがきなどの力がかかると、

    くさび状に根元だけが削れる特殊なかたちになる。

 

骨隆起、くさび状欠損のどちらか1つの兆があれば、歯ぎしりによって強い力がえられた証拠

 

③「起時のアゴのだるさ」

①骨隆起と②くさび状欠損のどちらか1つに加え、「朝おきたときにピークとなるアゴのだるさ」がある場合、

睡眠中に強すぎる歯ぎしりをしている証拠となる。この条件にあてはまる場合は、歯科医の受診がお勧め。

 

 

「全身破壊」歯ぎしりの正体と見分け方

「全身破壊」歯ぎしりの正体…「噛みしめ」

ここぞというとき、人間は歯をくいしばりますが、噛むというのは、全身の筋肉の活動を限界以上まで引き出す

ためのスイッチになっている。そのため、寝ている間に歯を噛みしめている人は、本来体を休めるはずの

睡眠中にもかかわらず、全身の筋肉をずっと酷使し続けてしまっているということ。

結果、頭から足の先までの様々な筋肉が疲労でボロボロになってしまい、「頭痛」「首の痛み」「肩こり」「腰痛」

「ひざ痛」などを引き起こします。さらに、筋肉によって神経が圧迫され、「めまい」や「視力低下」「耳鳴り」など

も起こることがある。

この噛みしめによる「全身破壊」歯ぎしり、音が出ないので発見しにくいばかりか、歯の磨耗がないこともある

ので、本人も周囲の人もなかなか気づけない。

  この見分け方も先ほどの「口破壊」歯ぎしりと同様、骨隆起やくさび状欠損、朝のアゴの症状でわかる。

 

歯ぎしり治療のポイントは?

歯ぎしりの治療法のポイントは“「歯ぎしりは治らない」ので、「良い歯ぎしり」に変える”というもの。

治療のもっとも手軽な方法はマウスピースがある。歯に過度にかかる力を分散させる効果があり、また、音も

出なくなるので、症状がなくても音だけ何とかしたいという人にも効果的。

根本的な治療としては、かみ合わせ治療が中心になる。

歯を削ったり、足りない部分を付け足したりすることでかみ合わせを変えることができる。

また、全体的に治す場合は矯正などの方法がとられる。

 

【感想・考察】

  最近はストレス社会なので、このような歯ぎしりに悩んでいる人は多いようです。

この番組でも、歯ぎしりと、それによる影響についてかなり詳しく取り上げられていました。

つまり一般人でも私達歯科衛生士が知りうる内容は、情報として知っているということなので、

よく内容に精通し、理解しておく必要があるなと感じました。

また、自覚症状がない人も多いということなので、メンテナンスなどに来て下さる患者さんの

口腔状態や会話の内容から、しっかり観察し、上手にTBIに活かしていけたらいいなと思いました。

                                                    衛生士 河本

 

  2013/02/10   ふくだ歯科
タグ:歯ぎしり