スタッフレポート

2020年11月

「子ども虐待」について、勉強会で発表して

「もしかして?」-その時DHにできること

Part.1 子ども虐待と歯科

    子どもの虐待の4つの種類

    ・身体的虐待 : 殴る、蹴るなどの身体的暴力

             タバコの火による体罰など

    ・心理的虐待 : 暴言や威圧的な言動による心理的圧力

                                               兄弟姉妹間の差別的な扱いなど

    ・性的虐待  : 子どもに対し性的な行為やいたずらをする

    ・ネグレクト : 育児や教育の放棄・怠慢

             病児に必要な医療を受けさせないなど

    *ネグレクトの指標として「う蝕」が注目されている

    *必要な歯科治療を受けさせない「デンタルネグレクト」

    *口腔顔面領域に現れる虐待の兆候

        頭部、顔面、口腔、歯周組織、骨、う蝕、感染症など

Part.2 歯科診療所で子ども虐待に気づくには

     子どもと保護者の観察ポイント

     ・受付、待合室

       子ども:衣服が季節に合ってない

           待合室でじっとしていない

           保護者と目を合わさない

       保護者:問診票への記載が十分でない

           母子手帳の記載が少ない

           待合室で子どもを放置あるいは異様に叱る など

     DHによる術前診査

       子ども:肌の露出をしたがらない

           傍に保護者がいないと態度が変わる

           身体的発育が年齢相応でない など

     診療中

       子ども:う蝕歯が多い

           未処置歯を放置された期間が長い

           口腔内清掃状況が悪い(不潔)

           疼痛に対して異常に我慢する

     診察後の受付

       子ども:治療内容や今後の説明に興味を示さない

           会計や次回の予約する際、すぐに帰ろうとする

Part.3 学校歯科健診で子ども虐待に気づくには

     前年のう蝕が放置されていたら要注意

       DHが前年の結果をチェックし、今年もう蝕と判断される歯が多け れば、歯科医師に

                         アイコンタクトなどでサインを送るか、健診票 にわかるように印をつける。

Part.4 子ども虐待に対して歯科衛生士ができること

     歯科医療従事者も通告の役割を担っている

      歯科受診や健診での保護者と子どもの言動やようす、口腔内状況か ら、何らかの違和感を

                      感じとった場合、速やかに子ども家庭支援セ ンターや児童相談所、保健所、警察などの

                      関係機関に通告する。

     できることを知り、支援者になる

      通告できるからといって、即「虐待」と判断されるわけではなく 最終的な虐待の判定は、

                      各種の専門的診断を持ち寄って総合的に行 われる。

                    児童福祉司による社会診断

                    児童心理司による心理判断

                    児童指導員、保育士による行動診断

                    医師・歯科医師・医療従事者による医学診断

      歯科医院が児童相談所へ通告する際、虐待を適切に判断できるよう な情報を提供すること

                      が大切。 歯科衛生士は歯科医師とともに子 どもに関する記録をとる。

        家族歴、受傷機序、受傷時間、外傷の既往、受傷部位のスケッ チ・写真撮影、

                             X線写真撮影 など

おわりに   

保護者に対しては、「よく連れてきてくれましたね」「お子さんが痛がって大変だったでしょう、

私たちにお任せください」など適切な言葉がけをし、特別扱いすることなく、自然体に接するよう心

がけることが大切ということもわかりました。                  

                                衛生士 赤木

  2020/11/25   ふくだ歯科

「食と栄養の疑問」について、勉強会で発表して

Q 透明飲料って、体にいいの?

A 製造過程の違いによる体への影響はありません。しかし、糖質を摂取することによる体の影響は、

 透明でない飲料と違いありません。

 これまで、透明飲料と言えば、水(ミネラルウォーター)や果物の香りがする水(フレーバーウォーター)

 を指していました。しかし近年、各社飲料メーカーがコーヒーや紅茶、色のついた炭酸飲料、ビール

 までも透明にして売り出し始めました。その背景には、「透明な見た目が健康に良さそう」

 「ダイエット中でも飲めそう」「時間や場所、周囲の視線を気にせず飲める」「歯にステインがつか

 ないように」といったような消費者の持つ印象やニーズがあるようです。 製法は、コーヒー豆や紅茶

 葉などの香りだけを抽出する方法や、香料の添加によって本物らしくしているものがほとんどです。

 したがって、コーヒーの色味成分(メラノイジン、カラメル、クロロゲン酸類)や紅茶の色味成分

 (テアフラビン、カテキン)などが含まれない、無色の飲料が出来上がります。そのため、歯の表面に

 飲料の色素が沈着することを懸念している人が透明飲料を飲むことには、メリットがあるといえるで

 しょう。 甘味成分としては、糖類(砂糖、高果糖液糖、スクラロース、アセスルファムKなど)が含ま

 れています。砂糖や高果糖液糖を含む商品には、これらに由来するエネルギー表示がありますが、

 スクラロースなどの甘味料を含む商品は「0カロリー」と表示されています。一見低下カロリーで

 良さそうに見えますが、糖質を摂取していることに変わりなく、知らない間に糖質の過剰摂取に

 つながっている可能性があることは否定できません。 また、スクラロースやアセスルファムKは人工

 甘味料の仲間です。生体への影響として、血糖値上昇を起こさないため、食欲亢進を起こす可能性が

 あり、甘味を強く感じた人ほど一定時間後の食欲亢進が高まるとの報告もあります。ですから、“透明

 飲料”であってもなくても、日常的にペットボトルや缶入り飲料を摂取する習慣は、食欲増強による

 エネルギー過剰摂取などの悪影響を体に与える可能性があると知っておくことは重要です。

Q サプリメントでの栄養素摂取は、食品からとの摂取とどう違う?

A サプリメントには食品から摂取できないほど多量の栄養素が含まれています。過剰摂取のリスクも

 あることを理解したうえで必要に応じて使用しましょう。 サプリメントの市場規模は1.5兆円に

 のぼるともいわれていますが、実は明確な定義はなく、「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態

 の製品」とされているにすぎません。また、薬以外で「病気を治す」と謳うことは禁じられている

 ため、サプリメントは効能・効果を謳うことはできません。 さて、サプリメントが食品と大きく違う

 のは「特定の栄養素を、食品では摂取できないほど多量に含む」点です。私たちが普段食べている

 食品はマクロ栄養素やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素を含んでいます。十分な食事を摂取

 していれば、必要不可欠な栄養素はサプリメントなしでも補給できるのです。 サプリメント摂取に

 よる害として有名なものにβカロテンがあります。βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれる成分で、

 抗酸化作用を有し、喫煙者の肺がん発症を抑制することが期待されていました。しかし、喫煙者に

 βカロテンのサプリメントを服用させた大規模介入試験では、肺がん発症が1.3倍増加することが

 わかり、研究は中断されました。この研究から、世界がん研究基金のレポートではβカロテンを

 「肺がんリスクを明確に上げる」ものとして示しています。なお、食品からのβカロテン摂取は肺

 がんリスクとの関連は示されていません。 一方、骨粗鬆症に対するカルシウム、ビタミンDや、妊娠

 準備期、妊娠中の葉酸摂取など、有効性がはっきりしているサプリメントもあります。 サプリメント

 にあまり大きな期待をしすぎず、食事を十分に摂ることが何より大切です。特に喫煙者や何らかの

 疾患を持つ場合は、サプリメントによるリスクもあることを理解し、医師や管理栄養士に相談しま

 しょう。

〈感想・まとめ〉

透明飲料もサプリメントも、TVCMや広告から健康的なイメージを持ってしまいがちです。メリット

だけでなくデメリットについてもしっかり理解し、自身や家族、患者さんの健康を管理していきたいと

思います。

                            衛生士 関口

  2020/11/08   ふくだ歯科
タグ:食と栄養