スタッフレポート

食と栄養

「食と栄養の疑問」について、勉強会で発表して

Q.市販の野菜ジュースやふりかけは、野菜代わりになる?  

A.市販の野菜ジュースやふりかけは、野菜の代わりにはなりません。ただし、野菜に含ま れている一部

 の栄養素を補うことは可能です。 市販のふりかけは、一度に摂取できる量が少なく、生野菜や果物と

    いった原料由来の 栄養素をたくさん摂取することは困難。摂取量が増えればかえって塩分の過剰摂取

    が問題になる。市販の野菜ジュースは、原料由来の栄養素を含有しているが原料を絞ったり加熱殺菌

 したりといった製造過程で失われてしまう栄養素もある。

  食物繊維:水溶性と不溶性。不溶性食物繊維は“絞りかす”として除去される

  ビタミンC:加熱殺菌処理の際に一部失活してしまう

  ジュース:ジュースは“噛む”動作をともなわないので野菜の代わりとするには 不十分。

       ”噛む“::唾液分泌を促進し消化や口腔内の自浄作用を高めるだけでなく認知機能などに

           も関与している

  ただし、 製造工程の影響をほぼ受けず、加工品でとる方が吸収率が高くなる栄養素もある

       鉄・カリウム・カロテノイド(リコピン、βカロテン)   

 野菜はできるだけ食事で摂るように心がけ、野菜ジュースやふりかけは補助的に活用 するとよい。    

  冷凍野菜やカット野菜:野菜で調理の手間を省き、手軽に野菜を摂ることができる    

  電子レンジの活用:蒸し野菜や野菜スープなど時間をかけず手軽に調理できる

 

Q.フレーバーウォーターとミネラルウォーターの違いって?

A.フレーバーウォーターは、「清涼飲料水」。香りや味だけでなく糖分やエネルギーを 含んでおり、

 飲み過ぎるとう蝕や歯周病のリスクが高くなります。    

 「ミネラルウォーター」とは地表から浸透し、地下を移動中または地下に滞留中に 地層中の無機塩類

 が溶解した地下水である「ナチュラルウォーター」を原水として 、品質を安定させる目的等のために

 ミネラル分の調整や、複数の水源から採水した ナチュラルミネラルウォーターの混合などが行われて

 いるもの(農林水産省定義)  

 「フレーバーウォーター」とは一般的に見た目は無色透明のミネラルウォーターに 見えるものの、

 飲めばりんごや桃、レモン等の香りと味がついている飲料をさす (明確な定義なし) 

 フレーバーウォーターは「清涼飲料水」に分類され、糖分を使用している。 “水”のイメージが強調

 されて売られている。商品によって差はあるが水の代わりに 飲み干しているうちに糖分やエネルギー

 を過剰に摂っている可能性がある。

 "糖分が入っている飲み物“なので飲用する時間帯によっては飲用後の口腔清掃を十分に行わなけ

 れば、う蝕や歯周病等のリスクが高くなる飲み物である

 

[感想]   

チェアサイドでは会話のなかで食に関しての質問も少なくないと思います。最近では食品・飲料水に

関して紛らわしい表示もあります。惑わされないように、疑問に思ったことは解決していけるように

したいと思います。            

                      衛生士 赤木

  2021/09/01   ふくだ歯科
タグ:食と栄養

「食と栄養の疑問」について、勉強会で発表して

Q 透明飲料って、体にいいの?

A 製造過程の違いによる体への影響はありません。しかし、糖質を摂取することによる体の影響は、

 透明でない飲料と違いありません。

 これまで、透明飲料と言えば、水(ミネラルウォーター)や果物の香りがする水(フレーバーウォーター)

 を指していました。しかし近年、各社飲料メーカーがコーヒーや紅茶、色のついた炭酸飲料、ビール

 までも透明にして売り出し始めました。その背景には、「透明な見た目が健康に良さそう」

 「ダイエット中でも飲めそう」「時間や場所、周囲の視線を気にせず飲める」「歯にステインがつか

 ないように」といったような消費者の持つ印象やニーズがあるようです。 製法は、コーヒー豆や紅茶

 葉などの香りだけを抽出する方法や、香料の添加によって本物らしくしているものがほとんどです。

 したがって、コーヒーの色味成分(メラノイジン、カラメル、クロロゲン酸類)や紅茶の色味成分

 (テアフラビン、カテキン)などが含まれない、無色の飲料が出来上がります。そのため、歯の表面に

 飲料の色素が沈着することを懸念している人が透明飲料を飲むことには、メリットがあるといえるで

 しょう。 甘味成分としては、糖類(砂糖、高果糖液糖、スクラロース、アセスルファムKなど)が含ま

 れています。砂糖や高果糖液糖を含む商品には、これらに由来するエネルギー表示がありますが、

 スクラロースなどの甘味料を含む商品は「0カロリー」と表示されています。一見低下カロリーで

 良さそうに見えますが、糖質を摂取していることに変わりなく、知らない間に糖質の過剰摂取に

 つながっている可能性があることは否定できません。 また、スクラロースやアセスルファムKは人工

 甘味料の仲間です。生体への影響として、血糖値上昇を起こさないため、食欲亢進を起こす可能性が

 あり、甘味を強く感じた人ほど一定時間後の食欲亢進が高まるとの報告もあります。ですから、“透明

 飲料”であってもなくても、日常的にペットボトルや缶入り飲料を摂取する習慣は、食欲増強による

 エネルギー過剰摂取などの悪影響を体に与える可能性があると知っておくことは重要です。

Q サプリメントでの栄養素摂取は、食品からとの摂取とどう違う?

A サプリメントには食品から摂取できないほど多量の栄養素が含まれています。過剰摂取のリスクも

 あることを理解したうえで必要に応じて使用しましょう。 サプリメントの市場規模は1.5兆円に

 のぼるともいわれていますが、実は明確な定義はなく、「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態

 の製品」とされているにすぎません。また、薬以外で「病気を治す」と謳うことは禁じられている

 ため、サプリメントは効能・効果を謳うことはできません。 さて、サプリメントが食品と大きく違う

 のは「特定の栄養素を、食品では摂取できないほど多量に含む」点です。私たちが普段食べている

 食品はマクロ栄養素やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素を含んでいます。十分な食事を摂取

 していれば、必要不可欠な栄養素はサプリメントなしでも補給できるのです。 サプリメント摂取に

 よる害として有名なものにβカロテンがあります。βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれる成分で、

 抗酸化作用を有し、喫煙者の肺がん発症を抑制することが期待されていました。しかし、喫煙者に

 βカロテンのサプリメントを服用させた大規模介入試験では、肺がん発症が1.3倍増加することが

 わかり、研究は中断されました。この研究から、世界がん研究基金のレポートではβカロテンを

 「肺がんリスクを明確に上げる」ものとして示しています。なお、食品からのβカロテン摂取は肺

 がんリスクとの関連は示されていません。 一方、骨粗鬆症に対するカルシウム、ビタミンDや、妊娠

 準備期、妊娠中の葉酸摂取など、有効性がはっきりしているサプリメントもあります。 サプリメント

 にあまり大きな期待をしすぎず、食事を十分に摂ることが何より大切です。特に喫煙者や何らかの

 疾患を持つ場合は、サプリメントによるリスクもあることを理解し、医師や管理栄養士に相談しま

 しょう。

〈感想・まとめ〉

透明飲料もサプリメントも、TVCMや広告から健康的なイメージを持ってしまいがちです。メリット

だけでなくデメリットについてもしっかり理解し、自身や家族、患者さんの健康を管理していきたいと

思います。

                            衛生士 関口

  2020/11/08   ふくだ歯科
タグ:食と栄養