スタッフレポート

創傷治癒のメカニズムについて、勉強会で発表して

創傷治癒のメカニズムは次の3つのステージに分けることができる。

ステージ①炎症のステージ

     →まずは“炎症”が起こる。

      臨床的な症状として、発赤、腫脹、熱感、不快感(疼痛を含む)

    ※発赤、腫脹、熱感は血管の拡張によるもので、血流量の増加と血管壁の

透過性の亢進の結果。

ステージ②増殖、肉芽形成のステージ

     →炎症の後、細胞の増殖、肉芽形成のステージに移行する。

      そのとき重要な役目を果たすのがサイトカイン(可溶性の小さなプロテイン)

      主に免疫細胞から放出されたサイトカインが、炎症に関与する細胞の機能を促進したり阻害したりして、炎症をコントロールする。

    ※熱を産生するサイトカインは、代表的なものの1つ。

     また、成長因子が別のカテゴリーの細胞間のシグナル伝達(コミュニケーション)

     をしており、これは細胞の増殖、分化に関与し、組織を構成する細胞外マトリ

     ックスの生成と成熟にかかわっている。

    ※「どれくらいコラーゲンをつくって増やすのか?」「いつ止めるか?」「そのスピードは?」などをコントロールしている。

ステージ③リモデリングと組織の成熟のステージ

     →結合組織がリモデリングするためには、結合組織の主成分であるコラーゲンが必要。コラーゲンをつくるには繊維芽細胞が不可欠。

⇒これには②の細胞外マトリックスがかかわってくる!

    ★術後3~4日で繊維芽細胞が新しい結合組織をつくり始める

    ★コラーゲンの産生には幅があり7~21日でピークに達する

   ※傷が治りかけてくるとムズムズ、チクチク痒い感じがするのは、繊維芽細胞が

    活躍している印!繊維芽細胞には尖った部分があり、それらが周囲の組織を刺激している。またヒスタミンなどの痒みを誘導する物質も存在する。

 

☆歯周外科手術では、一次治癒、二次治癒、三次治癒の3タイプの治り方がある

   一次治癒…非常に良い組織の閉鎖がされて、治癒のために的確な血流の回復が

なされる。

   二次治癒…創傷の組織がぴったりと閉じずに隙間をもって治っていく。

        その隙間は肉芽細胞を埋めるように治っていき、時間がかかる。

   三次治癒…二次治癒と関連し、感染などが起きて治癒のメカニズムが中断され

        た状態。

☆リモデリングに要する時間

 ・血管…切開後3~4日で始まる。血液から治癒に必要な栄養を取り入れ、血管内皮

     細胞が増殖して新しい血管を作り始める。術前と同じくらいの血液循環を達成

     するために10~15日間ほど血管を作り続ける。

 ・骨…破骨細胞は約3~4日で壊死した骨を除去し始める。創傷における炎症反応に

    よって起こる骨吸収は8~10日がピーク、14~21日位まで続く。

    骨の生成が21~28日の間に起こり、組織学的治癒には約1~2年かかる。

 

《感想・考察》

外科的手技による創傷治癒は、体のどの部分も同じプロセスをたどります。

治癒に要する時間は、その範囲と程度(大きさ、深さ、ボリュームなど)が関係しており、

またどれくらい的確に治癒に必要な栄養が周囲組織から供給されるかにもよるとのこと。

加えて歯周外科手術では、先に挙げた3タイプの治り方があります。

創傷治癒のメカニズムを正しく理解し、それぞれのケースにおける最適な治癒に導いて・                    いけるよう適切な衛生指導を心がけたいと思います。                                                                                                                 衛生士 西内                                                                                                                           

  2014/02/24   ふくだ歯科
タグ:創傷治癒