あなたの患者さんがもつ危険因子はどれ?
一般に、人は加齢にしたがい根面う蝕のリスクが高くなります。
全身状態や生活 ①身体機能の低下
②全身疾患&服薬
③食生活
④気力の低下
高齢者特有の口腔 ①歯周病
②補綴物・義歯
③楔状欠損
④歯髄の変化
上記すべてが高齢者の根面う蝕の因子と考えられる。
全身状態や生活
①身体機能の低下が関係する理由とは?
●手指感覚が低下し、ブラッシングや歯間ブラシがうまく使えない
●視力が低下し、自分の口の状態や病変が見えないため十分なセルフ
ケアができない
*対策と気をつけるポイント
セルフケアをプロフェッショナルケアでサポートしよう
高齢者の場合、染め出しや、PCRはセルフケアができなくなって
きた部位を術者側が確認するためと、セルフケアが低下している
部位に対して、どうサポートする必要があるかを把握するために
活用できる。
口の筋力と唾液分泌量を低下させないトレーニングをしよう
日常的も噛み応えのある食品を取り入れてゆっくり咀嚼する。
ガムを噛むことで、咀嚼筋や唾液の分泌量が衰えないように指導
する。必要に応じて唾液腺のマッサージや、食前の口腔周囲筋の
ストレッチ体操等を薦める。
②全身疾患&服薬
●全身疾患の症状として唾液分泌量が少なくなる
●治療薬の副作用で口腔乾燥症になる場合がある
●全身疾患が原因で体が動かしづらく、セルフケアが困難である
*対策と気をつけるポイント
患者さんの服用薬は必ず把握しよう
患者さんが服用している薬の把握は必須です。薬の名前を覚えてい
ない患者さんも多いので、「お薬手帳」や処方箋、糖尿病手帳等を
持参してもらいましょう。また、薬の副作用項目に「口渇」などと
書いてあっても、すべての人に口腔乾燥症の症状がでるわけではな
いので、診査時に粘膜の観察をする。
③食生活
●一回ごとの食事摂取量が減少し、間食が多くなる
●味覚が鈍くなるため、甘味の強い食べ物を好むようになる
●健康に良いとうたった食品を極端に摂ることがある
*対策と気をつけるポイント
患者さんの生活を責めず、できることを一緒に考えよう
話しの中から、それぞれの患者さんの個性や状況にマッチする、ま
た患者さんが受け入れ可能な改善方法を提示する。
④気力の低下
●やる気が低下しているためセルフケアが持続・定着しない
●指導されたことを忘れてしまう
*対策と気をつけるポイント
できることを少しずつ進めよう
患者さんの身体的変化や生活状況にも気配りし、話しをよく聴き、
患者さんができることに合わせるのも大切なセルフケア指導です
清掃用具の選択も極力シンプルで継続できるものを指導する。その ・ ・ 分リスク部位の支援として、プロフェッショナルケアの間隔を短く ・ ・ 設定する。通院困難な場合は、患者さんのご家族とコミュニケー ・ ・ ションを取り協力を得ることも時には必要となる。
まとめ
加齢にしたがい根面う蝕のリスクが高くなるのは、高齢者の「全身状態や生活」「高齢者特有の口腔」が深く関 ・ ・係しています。一般に50歳過ぎると暦年齢と生物学的年齢の間に大きな個人差が生じるといわれているそ ・ ・うです。患者さんの口腔内はもちろん身体や背景にあるものを把握するのは必須です。今回は全身状態や生 ・ ・活がなぜ根面う蝕に関係しているかがわかりました。また、「高齢者特有の口腔」についても調べていきたいと ・ ・思います。 ・ ・ 衛生士 赤木