スタッフレポート

2023年7月

「令和のカリオロジーアップデート講座」を読んで

う蝕原因菌に関するQ&A

Q1 う蝕原因菌はミュータンス連鎖球菌だけ?  

→× う蝕原因菌の種類は非常に多い

 昭和の常識 う蝕原因菌はミュータンス連鎖球菌とラクトバチラスだけとされていました。

 令和の常識 ミュータンス連鎖球菌とラクトバチラスが最強のう蝕原因菌だが、この2つの菌種

       ほど強い酸を出さない菌種もう蝕原因菌のリストに加えられました。

Q2  歯肉縁上と歯肉縁下のプラーク細菌の種類は同じ?

→× 歯肉縁上にはう蝕原因菌が、歯肉縁下には歯周病原性菌が住む。

 昭和の常識  プラーク細菌叢の解析は細菌培養法でしたが、実際には培養できない細菌種の方が

        はるかに多い状況でした。特に歯肉縁下には空気中では培養できない嫌気性菌 (酸素

                          を嫌う菌) が多く生息していたため、歯肉縁上と縁下の細菌叢の違いについてよく

                          わかっていませんでした。

   令和の常識 プラーク細菌のDNA (デオキシリボ核酸)やRNA (リボ核酸)の塩基配列をすばやく判別

                        する画期的な細菌検査法の登場により、プラーク細菌叢の解析が一気に進みました。

                        その結果、歯肉縁上と縁下では性質の異なる細菌種が生息していることがわかり

                        ました。

Q3 う蝕の原因は砂糖だけ?

→× う蝕の原因は砂糖だけでなく発酵性糖質。 

 昭和の常識 う蝕の原因は砂糖と考えられていました。  

 令和の常識 う蝕原因菌は発酵性糖質(ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理でんぷん)を摂取して酸を

                         産生します。

Q4 う蝕原因菌の母子伝播は絶対に避けるべき?  

→× それほど神経質にならなくてもよい。

   昭和の常識 う蝕原因菌は感染の窓と呼ばれる生後19か月~31か月の期間に両親から伝播すると

                         言われていました。  

   令和の常識 う蝕を発症させるすべての細菌種の伝播を防ぐのは難しい。食事指導やフッ化物の

                         使用、適切なブラッシングで発症が予防できるため、それほど神経質になる必要はない

                         という考えが広がっています。

Q5 口腔細菌叢はつねに一定?

→× 種は変わらないが、菌量が増える細菌種と減る細菌種がいる。

 昭和の常識 口腔細菌叢は長い時間の流れの中で絶えずゆっくりと変化し続けると考えられていま

                         した。

 令和の常識 菌量の比は頻繫に変化します。

Q6 落としやすいプラークと落としにくいプラークに違いはある?  

→〇 プラークの粘着性はう蝕原性に関係あり。

 昭和の常識 すぐ落ちるプラークとなかなか落ちないプラークの違いまでは分かりませんでした。

 令和の常識 バイオフィルムのマトリックス(基質)として、微生物を包み込み、歯面に固く付着

       し、酸を内包します。なかなか落ちないプラークは歯面に強固に付着できるマトリック

       スで出来ているという違いがあることが分かりました。

Q7 ブラッシングは食後30分後が歯に優しい?  

→× ブラッシングは食後すぐがいい。  

 昭和の常識 ブラッシングは1日3回、食後3分以内に、3分間磨くでした。  

 令和の常識 平成では、食後すぐに歯を磨くと食事中に表層脱灰されたエナメル質を傷付けるため、

       唾液による再石灰化で表層脱灰が修復される時間を置いた方がいいとされてましたが、

       これは酸蝕症に関する話でした。う蝕予防の目的は、酸を産生する細菌のエサとなる

       発酵性糖質を取り除いて、酸を出させないようにすることのためブラッシングはすぐに

       するほうがいいとされています。

Q8 ブラッシング後に口はすすがなくてもいい?  

→〇 フッ化物入りの歯磨剤を使った後はすすがない。  

 昭和の常識 よくうがいして歯磨剤は口腔内に残さないのが当たり前でした。  

 令和の常識 日本歯科医師会は歯磨剤に含まれたフッ化物の効果を最大限に発揮させるため、少量の

       水で1回だけのすすぎをすすめています。

感想

学生時代に学んだことも医療は日々進化していくため、古い情報を患者さんに誤って伝えないよう更新

していく情報をこれからも取り入れ伝えていこうと思いました。      

                        衛生士 岡崎

  2023/07/17   ふくだ歯科

「頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」に参加して

1.奥山洋実 歯科衛生士

(歯科衛生士としての目標)

・患者さんに情報を伝えて歯の健康に目覚めてもらい、行動変容を促す

(奥山さんの過去)

・1986年の歯科医院→先生が削って、衛生士が埋める

↳・歯周病は歯がグラグラになってから来院(抜歯になることも多い)

  ・全てにおいて痛みなどの症状が出てから来院

  ・助手もスケーリングをしていた→歯科衛生士は先生の“お手伝いさん”

・患者さんによくなって欲しい気持ちが先走り、意見を押し付けてしまう…

 ↳逆に不快感を与えてしまい、治療中断になる事も経験した

(患者さんとの信頼関係の築き方)

・初診を任せてもらう、担当歯科衛生士になるには…?

↳・生活背景、家族背景、職業や役職を会話の中から聞き取り、患者さんへの心に響く 情報提供をして

     健康意識を上げる  

  ・一人一人を啓蒙者に「なるほど!他の人にも教えてあげたい」と思う指導を心がける

 ※啓蒙…知らない人を教え導く

 ・歯科衛生士として結果を示す

  ①臨床の成果

   症例発表;・資料の規格性

        ・患者さんへの健康意識を高める

        ・歯周基本治療の施術力

  ②経営的成果

   アポイント管理;・キャンセル率・継続率

(奥山さんが思う歯科衛生士の課題)

自分の指導が正しければ、患者さんがもっと美味しく食事ができて、健康で生き生きとした毎日を

送っていたかもしれない。近年、国民は歯の不具合が無くても、定期的に歯科医院を通うようになって

きた。その分、多くの国民は生涯、自分の歯で食事をしたいと望んでいるのではないか。歯を守るべき

私たち歯科衛生士は、その国民の切なる願いに応えられているだろうか。メインテナンスは快適になる

ためのお掃除だけではない。保険のSPT(歯周病安定期治療)をこなすことでもない。どうか歯の健康

を守る歯科衛生士としての予防歯科医療をするべきだ。一人一人が結果を出して、歯の健康を守ると

いう本来の使命を全うし、歯科衛生士の価値を上げていく必要がある。

2.安藤千晃 歯科衛生士

(安藤さんが考える歯科衛生士が抱える責任)

・担当の責任性

↳・患者の未来が変わる

・100点の答えを出さないといけない

↳結果ばかりをみて、患者の意見に応えることができない

・伝わる話し方

↳焦って言葉に詰まり、本来伝えたいことが伝えられない

(OHIにより行動変容できた例)

・生涯、歯科医院に関わってもらうベースを作る

↳一回一回の来院を大切にする

・気持ちの汲み取りを上達させる

↳知識が増え、リスクをより深く考察できる

 ↳患者さんの口腔清掃に対する意識の変化

・SRPが上達、自信がつく→患者さんの信頼を得ることに繋がる

(若い人の世代に危機感を持ってもらうためには)

・これから年を重ねていく上でどのような人になりたいか?

・どう年を重ねていきたいか?

(例)「自分の歯を失うことを想像できますか?」

   ↳今が、早い時から健康を作っていく、大切な時期であることを気づかせる

(安藤さんが歯科衛生士になって身についたスキル)

★時には人に頼る

★患者さんの本当の感情に気づいて受け止める

★人間性を磨く→心が上達すると、自然と技術もついてくる

3.感想

歯科医院によっては自分が担当する施術や対応が違うのを利用し、積極的に他の医院の方針と自分が

思う歯科衛生士像を照らし合わせて頑張っている奥山さんの姿に感心しました。

自分ができることや技術を磨き、TBIのバリエーションを増やしていきたいと思いました。

目の前のことをこなすだけではなく、患者さんをどのように改善させていきたいのか、しっかり寄り

添った歯科予防をしていきたいです。                                   

                       歯科衛生士 小鐵 

  2023/07/12   ふくだ歯科