スタッフレポート

2017年10月

「口から糖尿病予防」について、勉強会で発表して

歯周病-原因は細菌

  歯の汚れによって細菌が増え、周辺の歯肉に炎症を起こす。出血や腫れを引き起こすが、あまり自覚

  症状のないまま進行する。やがて歯を支える骨が破壊されて痩せていき、歯が抜けてしまう。早い人

  では40歳代後半頃から抜ける人もいる。

  主な原因は細菌の塊である歯垢の中の細菌。虫歯の原因となる菌とは異なる。2型糖尿病やメタボ

  リックシンドローム、心臓病、脳卒中など、様々な病気との関わりが明らかになってきている。

 

 日本人の歯が抜ける原因

  歯周病で歯を抜く人は45歳を過ぎると増加する。さらに働き盛りで太った人や糖尿病の人、タバコ

  を吸う人、ストレスを抱えている人は、歯周病が一気に重症化する。その為、食事や運動だけでなく

  歯科医師によるチェックが欠かせない。

 

歯周病とインスリンとの関係

  病気を起こす細菌が体内に入って、体は菌を排除しようと、強い炎症を起こす。炎症を起こす物質が

  たくさん作られると、血糖を下げるインスリンの働きを邪魔してしまう。歯周病を治療せずに炎症が

  続くとインスリンの効きが悪くなる。しかし、血糖を下げようと体は無理にインスリンを分泌する

  ようになる。米国の研究で、長寿の人はインスリンの血中濃度が適正に維持されていたのに対し、

  インスリンが効かずに無理に血中にたくさん分泌していた人は20年後の生存率が低かったという

  報告がある。

 

 歯周病を治療すると

   炎症の度合いがきれいに下がり、糖尿病の指標であるヘモグロビンA1c(血糖の状態を示す)も改善

  することが分かっている。重度の歯周病を治療すると平均でヘモグロビンA1cが約0.4%良くなり、

  最も良いと1%も改善する。これは、手足の切断を約40%予防でき、失明の原因となる小さな血管

  障害を30%防ぐことができるということを示している。

 

【感想・考察】

  以前にも歯周病と糖尿病との関わりについてはレポートしたことがありましたが、今回は記事として

  特に分かりやすくまとめてあり、ようやく理解できたかなという気がしました。糖尿病やその予備軍

  といわれる人は身近におり、糖尿病に関連する病気とその予防について歯周病治療の有用性を改めて

  考える良い機会となりました。

                                            衛生士 河本

  2017/10/15   ふくだ歯科

「ブラッシング方法」について、勉強会で発表して

 歯ブラシを用いたブラッシングには、口腔内の付着物の効果的な除去、歯肉マッサージなどの目的に

合わせたさまざまな方法がある。

 

1. 歯ブラシの毛先を使ったブラッシング方法

   ① 水平法

       (適応)

        幼児、細かい操作が困難な患者、臼歯咬合面

       (特徴と留意点)

        ・操作が容易で、プラークの除去効果も高い。

        ・歯間部の清掃効果は劣るので、補助的清掃器具との併用が必要。

        ・強いブラッシング圧や硬い歯ブラシの使用を長期間続けると歯肉退縮や楔状欠損を起こし、

          知覚過敏を併発するので注意する。     

   ② 垂直法

       (適応)

        歯間空隙が大きい、歯列不正、歯間部食物残渣の除去、細かい操作が困難な患者

       (特徴と留意点)

        ・操作が容易で歯間部の清掃が容易であるが、歯頸部の清掃効果は劣る。

        ・強いブラッシング圧や硬い歯ブラシの使用を長期間続けると、歯肉退縮、クレフト、

          フェストゥーンや擦過傷を生じるので注意する。     

   ③ スクラッビング法

       (適応)

        良好な歯肉の状態維持、軽度の歯肉炎、歯列不正、矯正装置、歯肉退縮・楔状欠損がある、

        知覚過敏歯

       (特徴と留意点)

       ・操作が容易で、歯頸部、歯間部、咬合面のプラーク除去効果が高い。

       ・毛先を使用したブラッシング方法として一般的によく指導されている。

        ・ストロークが大きくなると水平法になるので基本操作を指導時にしっかり伝える。     

   ④ バス法

       (適応)

        歯肉腫脹・出血がある、痛みがある、深い歯周ポケットがある患者

       (特徴と留意点)

        ・歯頸部や歯周ポケットのプラーク除去に効果がある。

        ・歯頸部に歯ブラシの毛先を当てることと振動を与える操作が難しい。

        ・誤った操作は歯肉を傷つけるので注意する。

        ・歯肉マッサージの効果が高い。       

2. 歯ブラシのわき腹を使ったブラッシング方法

    ① スティルマン法

        (適応)

         歯肉腫脹、出血がある

        (特徴と留意点)

         ・歯肉のマッサージが第一の目的で、プラークの除去効果は低い。

         ・歯頸部に歯ブラシのわき腹を当て、振動を与える操作が難しい。

         ・舌側や最後臼歯への操作が困難。

         ・他のブラッシング方法との併用が必要。

    ② チャーターズ法

        (適応)

         歯列不正、歯間空隙が大きい、歯肉退縮がある

        (特徴と留意点)

         ・歯ブラシの毛が歯間空隙に入りやすい。

         ・歯ブラシのわき腹の当て方が難しい。

         ・歯間乳頭部の歯肉マッサージに有効である。

(感想)

     TBIを行う際、患者さんの口腔内の状態に合わせた方法を選んで伝えられるように、主要なブラッ

     シング方法をまとめてみました。画一的な指導にならないよう、適応や特徴を頭に入れて、効果的

     なTBIを行えるようにしたいと思います。

                                                                                                     衛生士 星島

  2017/10/09   ふくだ歯科
タグ:歯ブラシ