スタッフレポート

「フッ化物塗布ベーシックマニュアル」について、勉強会で発表して

 

フッ化物は全ての患者さんに必要な処置

→アメリカ歯科医師会によるう蝕リスクと予防手段のガイドラインによれば、フッ化物応用の利用度が

  う蝕リスク判断の基準の1つとなっています。

 

★フッ化物塗布はう蝕ハイリスク患者のみならず、一般的なう蝕予防として患者さんに欠かせないもの

  と考えるべき

              ex.…歯周治療後の患者さん→根面う蝕や知覚過敏の発症が懸念される

          高齢者→服用薬との関連などで口腔乾燥症が起こり、う蝕リスクが高まることがある

                       酸蝕症の患者さん→歯を守るという意味でフッ素塗布は欠かせない

 

  ◆フッ化物塗布剤にも、“選び方”“選ぶ理由”がある

   ●酸性か中性かは、患者さんの口の状況に応じて選ぼう!

現在、日本でフッ化物歯面塗布剤として販売されている製剤は、配合フッ化物がフッ化ナトリウム

(NaF)で濃度が9000ppm(F)であるという点は共通

         →臨床でフッ化物塗布剤を選択する際に最も重要なのは 

                「酸性か? 中性か?」

                       

APF(酸性リン酸フッ化物溶液)…近年、チタン合金に対する腐食作用とポーセレンに対する劣化作用をもっていることがわかってきた。

 

                        ↓

                  酸性か中性かによるう蝕予防効果の差は特に認められていない

          チタン合金(インプラントや矯正ワイヤーの材料)、ポーセレン(MB、Crなど)を有する患者さん

          へのAPF使用は避けるべき。

 

   ●塗布剤の性状は、患者さんの口の状況に応じて選ぼう!

        フッ化物塗布剤の性状は、う蝕予防効果と特に関連は認められていないため、

        患者さんの好みや、効率などを優先して選択しても問題はない。

 

 

   ●定期的に!頻回に!

 フッ化物歯面塗布によるう蝕予防効果を高めるための最重要点は、定期的に頻回行うこと。

 今までに行われた研究結果を整理すると最低「半年に1回」は必要とされている。

        頻度が高いほうが高いほど効果も高まるとわかっている。

 

  ◆フッ化物塗布のためのQ&A

   1)フッ化物アレルギーはある?

     →フッ化物がアレルギーを発生させる心配はありません

       ※しかし、実際に用いられるフッ化物製剤にはフッ化物以外の添加物が含まれているので、

         これらがアレルギー作用を有している可能性は否定できません。

         アレルギー症状の判定に「素人判断は禁物」、専門家の診断が不可欠。

 

   2)妊産婦の患者さんに塗布しても大丈夫?

     →フッ化物は胎盤を通過しないため、大丈夫です

       ※妊婦は口腔のケアが不十分になりやすい時期のためフッ化物塗布の必要性も高い。

          フッ化物塗布を行うことにより、つわりを悪化させるようなことはない。

 

   3)塗布前の歯面清掃は必要?

     →必ずしも必要ではない、状況に対応を

       ※歯面清掃の有無でう蝕予防効果には差がないという研究結果がある。

                    「フッ化物歯面塗布によるう蝕予防効果以外の付加価値」として提供。

 

   4)補綴物等の非天然歯がある口にも塗布していい?

     →酸性のフッ化物製剤は使わないようにしましょう

      (ポーセレン、チタン合金などの補綴物)

 

  ◆当院で使用中のフッ化物製剤

   ●バトラーフローデンフォームN … 中性・NaF・泡タイプ・甘いグレープ味

   ●バトラーフローデンA     … 酸性・NaF・液体・柑橘系

   他には、弗化ナトリウム「ネオ」・液体・中性

   フローデンフォームA・泡タイプ・酸性 など

 

 

 【感想・考察】

フッ化物製剤には形状・味以外に「酸性か中性か」という違いがあることを今回初めて知りました。

バトラーフローデンフォームA酸性はAと違い、あまり酸っぱくなく少し甘味がありました。

「ネオ」はほぼ無味無臭だったので、フローデンフォームの甘さが苦手で口腔内にポーセレンが入っている

方にはオススメです。

口腔内の状況や患者さんの好みに合わせて、正しい選択をしていきたいと思います。

                                                            衛生士 西内

 

  2013/01/16   ふくだ歯科
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