スタッフレポート

「喫煙が及ぼす影響」について、勉強会で発表して

たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれていて、そのうち200種類以上が有害物質

です。中でもタバコの三大害となるのが「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」の3つで、口腔内

にも大きな影響を与えます。

ニコチン

・体内に入ると、抹消血管の収縮を引き起こす。その影響で歯周組織の血流が悪化し、十分な栄養

や酸素を供給することが困難になる。

・唾液の分泌量が下がることもあり、細菌が繁殖しやすくなる。

・依存性があり、一定期間喫煙を続けるとニコチンを吸収しないと、イラつき 不安などの感情が

 でる(ニコチン依存症)

タール

・発がん性物質である

・独特の臭気を持つ

一酸化炭素

・血液中のヘモグロビンと結合することで、抹消組織が慢性的な酸素欠乏に陥る。

喫煙と歯周疾患

喫煙は歯周疾患の最大のリスクファクターと言われています。

喫煙をすると非喫煙者と比較して2~6倍のリスクで歯周病になる。しかも1日の喫煙の本数が

増えれば歯周病のリスクも増加する。

また、ニコチンの血管収縮作用の影響で歯肉の血流が阻害されることで、歯肉が炎症を起こしても

出血が抑えられてしまい歯周病に気づきにくく気づいた時には手遅れになっている症例が多い。

歯周疾患の進行を抑制するのに、最も効果的な方法は長時間のブラッシングです。

しかし、いくら一生懸命にブラッシングを行っても禁煙しないと効果は激減してしまいます。

喫煙者の歯肉の特徴

1メラニン沈着により黒い歯肉になる(受動喫煙者の場合も色素沈着がみられる)

2歯肉が線維質になる(固くなる)

3歯周組織の破壊の程度にくらべて発赤、腫脹などの炎症症状が見えにくい

4辺縁歯肉がロール状に肥厚することが多い

5前歯部および舌側の歯周ポケット形成が顕著

6プラークや歯石の沈着が少ないのに、歯周組織の破壊が進行している などがあげられる。

喫煙が全身に及ぼす影響

呼吸器疾患:息切れ 咳 たん 喘息の悪化 慢性気管支炎 肺線維症 肺気腫 肺がん

循環器疾患;高血圧 心筋梗塞 狭心症 脳梗塞 動脈硬化など

消化器疾患;胃潰瘍 十二指腸潰瘍 食道がん 胃がんなど

歯科疾患;歯周疾患 口腔がん

その他;肌荒れ 骨粗鬆症 不妊 早産 流産など

禁煙の効果

・禁煙することによって歯周組織は数週間で本来備わっていた免疫応答を回復するようになり、

 歯周治療によって1年後には本来の健康な状態に戻る。

・歯茎の黒ずんだ外見も時間はかかりますが少しずつ健康な歯茎の色に戻る。

・禁煙することで受動喫煙により他人に迷惑をかけることがなくなる。

・口の中がさわやかになり口臭が減少する。

・健康になりタバコによる全身疾患の影響が減少する。など

感想

喫煙は口腔内だけではなく全身の健康にも大きく関係があります。

タバコは依存性があるということで喫煙者の方が禁煙することは簡単ではないと思います。

なので「やめてください」と簡単に言えませんが、患者様の健康を守っていくためにもタバコが

口腔内や全身にどういう影響を与えるかしっかりと伝えていけたらと思いました。

                                 衛生士  加藤

  2016/11/21   ふくだ歯科