スタッフレポート

予防歯科

予防歯科Q&Aについて、勉強会で発表して

食品に関する質問  

Q:キシリトール入りのガムには多くの種類がありますが、市販品と歯科専売品でどのように違いが

       あるのでしょうか?  

A:歯科専売品は市販品と比べて,う蝕予防効果の向上が期待されます     

      チューインガム(ガム)     

      もともと主にその味と爽快感を楽しむ嗜好品として消費されていた

                   ↓     

      1990年頃から砂糖ではなく代用甘味料が添加された製品が多く販売されるように なった

    (国民の健康意識の高まりを受けて)  

      ガムに添加される代用甘味料

   キシリトール

   ソルビトール

   アスパルテーム     など

       * プラーク中の細菌による発酵性が低く、う蝕の原因となる有機酸が ほとんど産生

                              されないという特徴がある

            * ガムを噛むことにより唾液の分泌が促進される

               ↑     

                       代用甘味料を添加したガムの常用がう蝕を予防すると考えられる

          多くのガムでは複数の代用甘味料がさまざまな割合で配合されている

                     (人々の嗜好に合う甘さにするなどの目的)    

        最近では、代用甘味料以外に

      リン酸化オリゴ糖カルシウム(POS-Ca) カゼインホスホペプチド(CPP-ACP)

                ↑

                                エナメル質の再石灰化を促進させる

      歯科専売品にはリン酸化オリゴ糖カルシウム、カゼインホスホペプチドなどの 成分や

              キシリトールの配合を高めたもの、フッ化物を加えたものがあり、市販品 と比べてう蝕

              予防効果の向上が期待されている。

 

歯磨剤に関する質問   

Q:患者さんから、「歯磨き粉の研磨剤が歯を削ると聞いたから、使いたくない」と 言われました。

      実際、どうなのでしょうか?    

A:一生使っても、健康障害が出るほど歯面が削られることはありません   

      実験では清掃剤(研磨剤)は歯を削るが、一生涯使用しても健康障害が出るほど削れることはない

                 ↑        

      歯ブラシの毛の硬さ、ブラッシング圧のほうが研磨性に影響する  

    日本で販売されている清掃剤の配合割合は、ペーストタイプの歯磨剤では10~60%ですが、現在の

      製品の配合量は以前より少なく、研磨性が低く抑えられている。清掃剤無配合のジェルタイプは、

      歯根露出や知覚過敏などで歯面への刺激を抑えたい患者さんに利用できる。    

 

【感想】    

この「Q&A」は、今話題になっていることや、患者さんから質問されて説明に困ったことなどの疑問

に現在のエビデンスをもとに答えられているので、参考にしていきたい。

                       衛生士 赤木               

  2019/12/04   ふくだ歯科
タグ:予防歯科

「予防歯科Q&A-常識を再考するー」講演会に参加して

今回は、講演の中の一部をレポートにします。

① シーラントが外れた歯はう蝕になりやすい?

 →シーラントが外れた歯は何もしてない歯に比べてう蝕になる割合が有意に減少しているとの

  論文あり。

 ラバーダム防湿と簡易防湿で差がある?

  →シーラントの保持率に差はなかったとの論文あり。

② 食後30分以内の歯磨きは危険?

 誤って報道されたそうです。本来は酸性食品(試験管内で炭酸飲料水(PH3)に象牙質を

 90秒浸漬)摂取後です。ただ、唾液に15分浸漬したら元の構造に戻るとのデータがある

 ので15分経てば良いかも?

③ ブラッシング回数は多いほど良い?

 ・1日のブラッシング回数とう蝕の発生について

  今の所3回以上が有効とのこと。もしかしたらフッ素に触れる機会が増える為かも

 ・1日のブラッシング回数と歯周病の発症について

 歯周病の定義、ブラッシング回数が文献によって異なるので一度に比較するのは困難である

 ことを前提として「ブラッシング回数が増加すれば歯周病が少なくなる」という明確な関係

 はみられないとのこと。

④ 重曹の入った歯磨剤の効果は?

 重曹を使用すると色素は取れても歯の表面は傷つけない。悪くはないかと思うとのこと。

⑤ お勧めの電動ブラシ、お勧めの洗口剤は?

 ・音波ブラシではなく、歯ブラシがグルグル回る方が良いのではないかとのこと

  (論文等を信用するのであれば)

 ・歯周病に効果が期待できる洗口剤は?

  グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジウムが入っている洗口剤がお勧め

  グルコン酸クロルヘキシジン:バトラーCHX洗口液

   塩化セチルピリジウム:薬用モンダミン、ガムデンタルリンス

⑥ 歯周病と糖尿病

  研究                   仮説                    評価

 横断研究            歯周病が重症であれば、 糖尿病も重症        正しい

 縦断研究 コホート研究   歯周病が重症化したら、 血糖コントロールが悪化   正しいかな

    介入研究                           歯周治療によって 血糖コントロールが改善    よく分からない (賛否両論)

⑦ 保健指導について

     →責任を取る気も無く100%正しいことを言うだけで、人の役に立とうとするのは虫がよすぎる

     →「何もしないことに全力をあげる」(傍にいてあげるだけ、看るだけ)

     →doingでなくbeing 患者に寄り添う術者磨き、being(触覚>聴覚>視覚)が大切

 

感想

講演の中で「すぐに役立つものはすぐに役立たなくなる」最後は自分で判断するといわれていました。

最近ではインターネットなどですぐに色々な情報を得ることができますが、しっかりと自分で判断し

分析することが大切だと思いました。患者さんに正確な情報を伝え、患者さんにしっかりと寄り添い

ながら日々の診療に取り組みたいです。

                             衛生士  松本

  2018/06/10   ふくだ歯科
タグ:予防歯科