スタッフレポート

コミュニケーション

「患者さんにピッタリな指導展開が即わかる!」について、勉強会で発表して

●患者さんの心理的抵抗を起させないようにするため「患者さんにしてはいけないこと」が3点ある。

 患者さんに心理的抵抗を起こす時と、その対策

 1. 望まないことを要求する  

   ・本人が望んでいることに協力する  

   ・「あなたの望みに添いたいと思う」と表明する   

  2. 急激で大きな変化を要求する  

   ・ゆっくり小さな変化から  

   ・優先順位をつけて、一つずつクリアしていく

 3. 選択肢を奪う  

   ・「自分で選んだ」と感じさせる  

   ・選択肢を増やす

 

●モチベーションで患者さんにすべきことは2つ!

 モチベーション:肯定的・具体的な願いを引き出す     

  「歯周病」は否定的なイメージを持っている患者さんが多い。「進行すれば歯が抜けてしまう」

  というような、脅迫的なイメージでは患者さんの意識は長続 きしない。

              ↓     

  「具体的にどうなったらいいか?」と患者さんの望みを、「おいしくご飯が食べ たい」など、

  明るく、目の前に情景が浮かぶような肯定的で具体的な望みと して聞き出す。そして、「ちゃんと

  治療すれば、○○になることができます」 というよに患者さんが言った言葉をそのまま用いる。

   このステップは患者さんの心理的抵抗を取り除き、協力を得る第1のステッ プになる。    

 エデュケーション:願いを叶えるために必要な知識を持ってもらう      

  「健康になりたい」という意識を持ってもらったら、次に必要なことはそれを達成する知識です。

  ➀病気の原因は、細菌でありプラーク(歯垢)        

   患者さんの中には、「食べかす」と「プラーク」を混同している方がいるの で注意が必要。            

  ②プラークコントロールの具体的な目標値        

   原因を取り除く方法は歯磨きで、その目標は磨き残しが20%以下であると説明する。

   【プラークコントロールの目標値はどう設定したらよい?           

    著者の医院では20%以下としていますが必ずしも20%以下にしなけ れば健康を維持できない

    というわけではない。具体的な目標がな いと患者さんが行動できないのでそれぞれの歯科医院

    の状況に合わ せて目標を決めておくとよい。もちろん、医院で一律ではなく、患 者さんの

    リスクに応じて細かく目標値を設定できればなおよい。】     

 上記の2点は、モチベーションの最後にもう一度確認する。確認の方法は、こちらから繰り返し言う

 のではなく、「歯周病の原因はなんでしたか」「健康を維持できる磨き残しは何%以下でしたか?」

 と尋ねる。また、この先の治療においても、来院のたびにこの2点を何度も確認する。

 

感想   

「健康を維持できる磨き残しは何%以下でしたか?」という質問は、歯磨きは「する」 前提で質問

しているそうです。質問の形式をとることで患者さんの無意識の領域に はたらきかけ、行動変容を

引き起こす、心理的に効果的な方法だそうです。 しかし、来院のたびに2点の最低限の知識を確認する

のは、意識を定着させるのに は有効だと思うが、しっかりと患者さんを理解していないと、逆効果に

なることが あるように思う。

                            衛生士 赤木

  2020/02/24   ふくだ歯科

「初診時に響く!コミュニケーションのコツ」について、勉強会で発表して

患者さんを理解するにあたっては情報収集が不可欠です。

その手段として、問診表やカウンセリングシートがあります。これらを活用することで、口腔内に

関する訴えのみならず、歯科医院の最終受診歴、自院への来院理由、過去における体験などから、

さまざまな患者さんの行動パターンを読むことができます。そうして得られた情報をもとに、

さらに患者理解を深めるために、歯科医療コミュニケーションがなされます。

 

① 歯科医院の最終受診歴を把握する

 最後にいつ歯科医院を受診されたかという情報は、患者さんの口腔に対する意識を予測する情報の

 1つとなります。最終受診日だけでなく、その頃どのような目的で通院し終えたのか、歯科治療が

 最終受診となり、その後は歯周病予防で来院することはなかったのか、来院したとすれば、どの

 くらいの間隔で、どのような目的で通院されていたのか(治療だけなのか、メインテナンスで通って

 いたのかまで確認することができると、その患者さんの予防意識に関する情報がより深まります。

  問診票や患者さんへのインタビューから得られる情報をふまえて、患者さんの予防意識を2つの

 パターンに分けて考えることができます。1つは「メインテナンスの意義を十分理解していなかった

 ために、長い間歯科医院を受診することがなかった」パターン、もう1つは「メインテナンスの意義

 を十分に理解しているのにもかかわらず、受診を継続しなかった」パターンです。前者の場合、一方

 的な説明は控えながらも、患者さんにメインテナンスの重要性と意義に対して関心を示してもらう

 ようにアプローチしましょう。後者の場合、受診を継続できなかったことを理解・共感したうえで、

 少しでも行動変容に向かうようサポートの方法を考えていきましょう。

② 自院への来院理由を理解する

 患者さんが自院に来院することには必ず理由が存在します。それについて詳しく伺うことで、患者

 さんが自院に対しどのような印象を持っておられるのか、どのようなことを期待されているのかが

 見えてきます。 仮に他者からの紹介(口コミ)で来院した患者さんであれば、紹介者は患者さんにどの

 ような話をされ、患者さんはその内容の何に響いて来院しようとする意思決定がなされたのかを理解

 すると良いでしょう。その「何か」を医療者側が把握することで、患者さんのニーズが見えて

 きます。 広告やホームページを見て来院した患者さんも同様に、広告やホームページのどの内容に

 関心をもたれたかを把握することで、他の歯科医院ではなく、自院へ来院した患者さん独自の理由と

 なるのです。

③ 過去における体験を聴く

 主訴に加えて、初診の患者さんに確認しておきたいこととして、過去に歯科医院でどのような体験を

 したかという情報も重要です。特に、患者さんが転院を決定づけたエピソードなどの情報があれば、

 それをもとに自院でも対策につなげると良いでしょう。例えば、なかなか抜歯ができなかった状況

 で、歯科医師もスタッフも苛立っており、その雰囲気が伝わってとても怖かったという経験をもつ

 患者さんであれば、歯科治療時における声かけや、スタッフ間の言葉遣い、態度、接し方に関して、

 徹底的に配慮できるよう心掛けましょう。 また、患者さんから話を聴く際、患者さんは話している

 うちに過去の嫌な経験が想起され、当時の感情やマイナスイメージのある歯科医師、スタッフの顔・

 声・態度まで思い出して不快感が増幅した結果、話が脱線していくことがよくあります。そんな時

 は、患者さんの気持ちが落ち着いたところで、本題に戻すよう心掛けることも大切です。あくまでも

 情報収集を目的としていることを忘れてはいけません。

 

〈まとめ〉

今まで、患者さんとのコミュニケーションについては、ゆっくり時間を費やせば良いと思っていた部分

がありました。しかし、慌ただしい診療の中の限られた時間で、患者さんを理解するための適切な情報

収集と、患者さんが抱える問題に焦点を当て、解決に向けたコミュニケーションをとる事が大切だと

思いました。

                           衛生士 関口

  2019/09/04   ふくだ歯科