スタッフレポート

歯ブラシ

「患者さんに合う歯ブラシの選び方」について、勉強会で発表して

・TYPE1 う蝕リスクが高い・補綴物が多い→ラウンド毛がオススメ

 しっかりと歯面に当たる面積があり、プラーク除去できるラウンド毛がオススメです。硬さに

 ついては、やわらかめの場合、プラーク除去率が低下しやすくなります。特に、唾液の分泌量が

 少なかったり、口呼吸している場合はプラークが硬くなりがちです。したがって、普通の硬さの

 タイプを選ぶか、やわらかめの場合はブラッシング時間を長めにすることが必要です。

  (製品例) DENT.MAXIMA MS /ルシェロ歯ブラシB

 

・TYPE2 歯周病リスクが高い・歯肉が腫れやすい→テーパード毛がオススメ

 毛先が細くなっているテーパード毛であれば、歯周ポケットに入りやすく、ポケット内のプラーク

 除去に向いています。ただし、ブラッシング圧が強いがために歯周ポケットに毛先が入り込みすぎる

 と歯肉に痛みがでるケースもあるので、ブラッシング圧に注意が必要です。歯肉が腫れて痛みがある

 場合、硬さはやわらかめがお勧めです。症状が改善したら、やわらかめからふつうの硬さに変更

 しましょう。この他、ブラシの動かし方が大きい場合、歯ブラシの挿入角度を間違えている場合、

 歯周ポケットがあまりない場合(1~2mm程度)、テーパード毛は不向きです  

 (製品例) DENT.EX systema44M/ルシェロ歯ブラシP

 

・TYPE3 妊娠中のつわりや嘔吐反射が強い→ヘッドが薄いタイプがオススメ

  口腔内は非常にデリケートです。特に、つわりや嘔吐反射が強い患者さんの場合、無理して開口

 しようとすると嘔吐しやすくなるので、あまり開口せずに磨いてもらいましょう。ヘッドが薄い

 タイプのほうが奥まで入れやすくなります。頬側は口を開けずに噛んだまま磨くと磨きやすいで

 しょう。

  (製品例)DENT MAXIMA S

 

 ・TYPE4 歯列不正→ヘッドの幅が小さいタイプがオススメ

 たとえば同じ3列植毛でも、製品によって歯ブラシのヘッドの幅は異なります。歯列不正の患者さん

 の場合、1歯ずつ磨けるような指導も大切ですが、ヘッドの幅が大きいと歯面に当たりにくくなる

 ので、ヘッドの幅が小さいものがお勧めです。

  (製品例)DENT MAXIMA S  

 

こんなときはどうしたらいいの?

1. かための歯ブラシで歯肉が傷ついている場合

 患者さんの中には、「かため」の歯ブラシがお好きで、どうしてもそれで磨きたいと言われることも

 あります。特に男性に多く、歯肉が退縮してエナメル質がすり減っている方もいらっしゃいます。

 できれば「ふつう」や「やわらかめ」の硬さに変更していただきたいのですが、どうしてもご理解いた

 だけない場合は、持ち方はペングリップにし、歯ブラシの動かし方が大きいと歯肉に傷が付きやすい

 ので、大きく動かさない、力を入れすぎないといった説明をしましょう。また、力の緩和が期待

 できるカーブネックの歯ブラシもお勧めです。

2. 大きい歯ブラシを使用したがる患者さん

  歯ブラシは、口を磨くわけではなく、歯を磨くものです。たとえ体格が大きいからといって、歯も

 大きいわけではありません。舌で下顎前歯部の一歯を触っていただき、歯の小ささを理解していた

 だきます。その小さな歯を1本ずつきれいに磨くわけですから、大きな歯ブラシでは小回りが利かず

 磨き残しが増えることをお伝えしましょう。

3. 市販の格安歯ブラシは効果はあるのか?

  安い物の中にも良いものはあるかとは思いますが、探し出すのは困難です。歯科専売品に比べて、

 耐久性や素材の質、毛先の形状などが大きく異なります。安価なものの多くは、毛先が乱れるのが

 早く、ラウンド毛やテーパード毛のように毛先がきれいにカットされていないものが多い傾向に

 あります。つまり磨いているのに磨けていない、歯肉にダメージを与える可能性がでてきます。

 ただし、患者さんがそれを気に入って使用している場合は、交換時期を1~2週間で交換するなど

 提案してみましょう。

※歯ブラシの交換目安は1ヶ月

 歯ブラシの使用日数が経過すると、毛先が広がり弾力性もなくなっていきます。当然、プラーク

 除去率が悪くなります。また。歯ブラシの毛や植毛部に細菌が繁殖し、菌のコントロールが困難に

 なってきます。劣化した歯ブラシを使い続けると、取り残したプラークがう蝕や歯周病の原因と

 なるだけでなく、毛先やヘッドに付着した細菌が繁殖するため、衛生上の観点からも良いとは

 言えません。

 

まとめ

 世間には、市販品・歯科専売品を問わずさまざまな歯ブラシが販売されており、その中から一般の方

 が自分に合ったものを探すことは難しいです。私たちは専門職として、それぞれの患者さんに合う

 歯ブラシを提案することが重要です。患者さんの口腔内や環境、性格などを考慮し提案出来るよう

 に、タイプ別のポイントを頭に入れておこうと思います。

                        衛生士 星島

  2019/04/07   ふくだ歯科
タグ:歯ブラシ

「ブラッシング方法」について、勉強会で発表して

 歯ブラシを用いたブラッシングには、口腔内の付着物の効果的な除去、歯肉マッサージなどの目的に

合わせたさまざまな方法がある。

 

1. 歯ブラシの毛先を使ったブラッシング方法

   ① 水平法

       (適応)

        幼児、細かい操作が困難な患者、臼歯咬合面

       (特徴と留意点)

        ・操作が容易で、プラークの除去効果も高い。

        ・歯間部の清掃効果は劣るので、補助的清掃器具との併用が必要。

        ・強いブラッシング圧や硬い歯ブラシの使用を長期間続けると歯肉退縮や楔状欠損を起こし、

          知覚過敏を併発するので注意する。     

   ② 垂直法

       (適応)

        歯間空隙が大きい、歯列不正、歯間部食物残渣の除去、細かい操作が困難な患者

       (特徴と留意点)

        ・操作が容易で歯間部の清掃が容易であるが、歯頸部の清掃効果は劣る。

        ・強いブラッシング圧や硬い歯ブラシの使用を長期間続けると、歯肉退縮、クレフト、

          フェストゥーンや擦過傷を生じるので注意する。     

   ③ スクラッビング法

       (適応)

        良好な歯肉の状態維持、軽度の歯肉炎、歯列不正、矯正装置、歯肉退縮・楔状欠損がある、

        知覚過敏歯

       (特徴と留意点)

       ・操作が容易で、歯頸部、歯間部、咬合面のプラーク除去効果が高い。

       ・毛先を使用したブラッシング方法として一般的によく指導されている。

        ・ストロークが大きくなると水平法になるので基本操作を指導時にしっかり伝える。     

   ④ バス法

       (適応)

        歯肉腫脹・出血がある、痛みがある、深い歯周ポケットがある患者

       (特徴と留意点)

        ・歯頸部や歯周ポケットのプラーク除去に効果がある。

        ・歯頸部に歯ブラシの毛先を当てることと振動を与える操作が難しい。

        ・誤った操作は歯肉を傷つけるので注意する。

        ・歯肉マッサージの効果が高い。       

2. 歯ブラシのわき腹を使ったブラッシング方法

    ① スティルマン法

        (適応)

         歯肉腫脹、出血がある

        (特徴と留意点)

         ・歯肉のマッサージが第一の目的で、プラークの除去効果は低い。

         ・歯頸部に歯ブラシのわき腹を当て、振動を与える操作が難しい。

         ・舌側や最後臼歯への操作が困難。

         ・他のブラッシング方法との併用が必要。

    ② チャーターズ法

        (適応)

         歯列不正、歯間空隙が大きい、歯肉退縮がある

        (特徴と留意点)

         ・歯ブラシの毛が歯間空隙に入りやすい。

         ・歯ブラシのわき腹の当て方が難しい。

         ・歯間乳頭部の歯肉マッサージに有効である。

(感想)

     TBIを行う際、患者さんの口腔内の状態に合わせた方法を選んで伝えられるように、主要なブラッ

     シング方法をまとめてみました。画一的な指導にならないよう、適応や特徴を頭に入れて、効果的

     なTBIを行えるようにしたいと思います。

                                                                                                     衛生士 星島

  2017/10/09   ふくだ歯科
タグ:歯ブラシ

歯肉をふっくらと仕上げる「DENT.EX syatema」の魅力について、勉強会で発表して

◎スーパーテーパード毛

「DENT.EX systema」にはスーパーテーパード毛が使用されています。スーパーテーパード毛の特徴は、

毛先が細く加工されていることです。スーパーテーパード毛はラウンド毛と比較して、歯周ポケットに

侵入しやすく、歯肉へ優しく当たる特性が検証されています。

さらにこの性能を発揮するため、毛の素材を通常のナイロンではなく、「ポリブチレンテレフタレート」

という特殊な樹脂を科学的に溶かして加工されたものが使われています。

◎歯周病予防や治療に最適

システマ44Mは非常にコンパクトなヘッドに、腰のある比較的長め(12mm)のスーパーテーパード毛が

約500本植毛されています。柄はシンプルなストレートの形状で手に馴染みやすく、適度にたわむこと

で過剰なブラッシング圧を抑制してくれます。

弱い圧力でも毛先が細部まで到達する特性は、過剰な外傷力が辺縁歯肉や露出したし根面にかかり

にくく、比較的長い時間ブラッシングをしてもらう歯周治療においてたいへん有利です。歯周治療後

に“ビニールコーティングした光沢のある、ふっくらとした歯肉”に仕上げることができます。

ブラッシングは一般的にセルフケアのために行いますが、“セルフキュアー”にもなるすばらしいものだ

と考えています。私たちが行うブラッシング指導の時間はほんのわずかであり、大半は患者さん自身の

手で行われます。そのため、患者さんの協力が不可欠であり、歯科衛生士には患者さんに応じた“口腔内

の取扱説明書”をしっかりと行うことが求められます。

《まとめ》

「おすすめの歯ブラシはありますか?」患者さんから、そう質問されることは少なくありません。自分に

合った歯ブラシと出会うことは、歯周治療の大きなモチベーションとなります。歯ブラシに限らず

デンタルフロスや歯間ブラシでも、多種類の清掃用具の中からなぜそれを選んだのか、その根拠を明確

にし、こだわりをもって患者さんに処方したいと思いました。

                                   衛生士 関口

  2015/09/23   ふくだ歯科
タグ:歯ブラシ