スタッフレポート

2019年6月

「続くメインテナンスの秘訣」について、勉強会で発表して

通い続けられるメンテナンスとは?

いかに歯を守る技術に自信があっても、ずっと患者さんの健康を守り続けたい気持ちがあっても、

患者さんが通い続けてくれなければ、生涯メンテナンスは実現できません。

長期的・定期的にリコールに応じていただけるためには、患者さんから信頼していただけるように

ラポールの形成を心がけ、できる限りその障害になるようなことは排除しなくてはなりません。

 

Level1不快さを排除!患者さんを尊重する姿勢が伝わる環境と心配り

1. 見た目も勝負!~信頼感と好感が持てる身だしなみ~

 ヘアメイクは清潔感がポイントです。髪型も、前髪がバサーっと被っていたり、束ねた髪がダラーン

 と肩口から下がっていたりしたのでは、とても見苦しいと思われてしまいます。第一、自分自身が

 術野に集中できません。

2. プライバシーを保てる環境作り~プライベートな情報を扱うのなら~

 患者さんごとに適切な指導内容を組み立てるために、身体状態・生活習慣・お仕事やご家族について

 など込み入ったお話をうかがうので、できる限りプライバシーが守られる状況や雰囲気作りが必要

 です。 また、会話するときの声の大きさにも注意が必要です。「明るくはきはきと大きな声で」の心

 がけが逆効果になってしまう危険性もありますので注意しましょう。

3. 処置中の注意点~不快な要素を取り除く~

  Point1驚かさない(声をかける)

  処置で必ず心がけるのは「驚かさないこと」です。超音波スケーラーを使用したり、3wayシリンジで

 洗浄したりエアーで乾燥する前には「お水が出ますね」や「風が出ますね」と声をかけます。

 急にユニットを動かしたり、いきなりミラーで口唇をこじ開けたりせず、たった1秒・2秒であろう

 とも、動作を止めて声をかけ、患者さんに心の準備をしていただく間をおきます。

 Point2まぶしくしない(ライトの位置)

  必ず注意すべきなのがライトの使いかたです。けっしてまぶしい刺激を与えないように気をつけ

 ます。ライトは腹部→胸部→口腔周囲と3段階で動かしていきます。特に、ユニットを起こして

 うがいしていただいた後、再度処置を続ける時にライトの位置を気にせずにスイッチを入れてしまう

 と、眩しさを与えてしまう危険があるので注意しましょう。  

 Point3刺激を与えない(口腔内の器具の出し入れ)  

 口腔内にミラーを入れる際に歯牙にぶつけないように注意している方は多いと思いますが、はずす際

 にも気をつけましょう。また、乾燥・隔壁目的でロールワッテを使いますが、唾液の少ない患者さん

 の口腔内から取り出すときは、3wayシリンジで湿らせてから外しましょう。

 

Level2患者さんのリスクをふまえた、効果的で説得力のある指導

1. 患者さん固有のリスクを予想しよう!

 染め出しして手鏡を渡し、必死になって「ここが磨けていません」などと説明する前に、「なぜこの

 部位にプラークが付着しているのか」とプロとして科学的に考えてみましょう。そうすることが、

 患者さん固有のリスクの把握につながります。生理学・病理学などの基礎知識や、患者さんの口腔外

 から得られるパラメータをフル活用して考察していきます。それにより、リスクの判断や対処法が

 異なってきます。 歯科衛生士がメインテナンスを担当する目的は、「口腔内の健康な状態を維持して

 全身の健康をする」ことです。つまり「口」と「身体」を切り離さないという考え方が重要です。

2. 診査で得られたデータで、会話に重みを持たせよう!

  せっかく時間をかけ精密に採取したデータでも、活用されなければ意味がありません。その数字が

 何を意味し、何のために必要なものなのかをわかりやすく説明します。数字で示される客観的評価に

 は非常に大きなインパクトがあります。 しかし1回の説明では完全に理解してもらいにくかったり、

 説明するための時間が足りない場合もあるでしょう。十分に納得してほしい点については、次回の

 来院時にも再度説明することで、「あなたのことを継続的にフォローしていますよ」というアピールに

 なり、モチベーションにつなげることができます。歯周治療ではセルフケアとプロケアがかみ合わな

 ければ良好な結果として形になりません。患者さんには自分自身が治療に参加しているという自覚を

 持ってもらい、積極的に行動変容を起してもらえるように促しましょう。

~モチベーションのポイント~

Step1プラークの説明

プラークについて、以下の要旨を理解してもらえるように説明する。

・プラークは口の中の細菌が食べかすを分解してできた細菌の塊である

・プラークは酸を蘇生し歯を溶かしむし歯の原因となる

・歯肉炎を引き起こし歯周病の原因となる

・プラーク中の細菌が産生するメチルメルカプタンなどの化学物質により口臭が生じる

Step2ブラッシングによるプラーク除去効果の確認

染色液でプラークを染め出し、患者さんに手鏡でプラークの付着部位を実際に見せ、ブラッシングを

行わせて、ブラッシングでプラークが除去できることを確認させる。

 

まとめ

長期的に患者さんに関わるうえで、不快な思いをされないようにするという基本から、患者さん自身

にも治療に参加している意識を持ってもらうための工夫まで詳しくポイントが知ることができたので

とても勉強になりました。普段のメインテナンスにも積極的に取り入れていこうと思います。

                           衛生士 星島

  2019/06/30   ふくだ歯科

「患者さんの忙しさに寄り添う」について、勉強会で発表して

“忙しい”時期を乗り切る3つの心構え

① 患者さんの今の状況を受け止める

  まずは、「この患者さんの今の状況はどうか?」という気持ちを持ちながら情報集していくことが

 大切。“働き盛り”の患者さんの食習慣を聞くと、「コンビニの菓子パンと缶コーヒーで済ませる」

 「残業で遅くなるので会社で配られるチョコレートで小腹を満たす」などの答え。こうした食生活を

 理想的でないと批判するのは簡単ですが、そのような食生活にならざるを得ない生活背景を含めて

 理解しなければ、セルフケアや食習慣改善の提案はもちろん、信頼関係の構築は難しい。

② 「言い訳は余裕のなさの表れ」と受け入れる

 子育てや仕事が負担となり、メインテナンスの間隔が長くなり、なかなかセルフケアが安定しない

 時期がある方もいる。「忙しくてザッとしか磨けない」「歯間ブラシやフロスは面倒」と言われて

 も、「言い訳が必要なくらい時間も気持ちも制約があるという時期が、働き盛りなのだ」と思い、

 そのぐらいの心持ちのほうがお互いに楽だと考える。

③ 何より大切なのは「前向きになってもらう」こと

 さらなる改善のためにこちらが良いと考える食習慣やセルフケアを提案しても、患者さんの気持ちに

 ゆとりがなく、「絶対無理」と思われてしまっては、その後の行動にはつながらない。口腔衛生指導

 やSRPは歯科衛生士ができるサポートのごく一部。それ以上に大切なのは、良くなったことに目を

 むけて患者さんの気持ちが前向きになるようにすること。

 

<ケースでみる“忙しさ”を乗り切るサポーティブなメインテナンス>

働き盛り・子育てを経て今は介護中、30年間メインテナンス継続中(女性)

職業:初診時は会社員、現在はパート

主訴:上顎臼歯部冷たいものでしみる

   年齢とともに歯が大切なことがわかってきたので治療が必要なところは治したい

① 初診時〜働き盛り

・職場が近かったため、メインテナンスの間隔を3ヶ月とし勤務日に来院していただいていたが、仕事

 の多忙さ、会社の移転で勤務日の来院が困難になったこと、口腔内の状態が安定していることを

 ふまえて6ヶ月間隔に変更

・アポイントの日は会社を休んできていただくようになった。忙しい中通院していただくので、

 プロフェッショナルケアで「気持ちいい」と感じていただけるように心がけた

② 結婚・妊娠・出産・育児

・育児で忙しく、歯磨きの時間が短くなってしまうということで、リスクの高い部位から始めるよう

 勧めたり、歯磨きを実践しやすい時間帯(子供が寝た後など)を一緒に検討

・自分の口腔内の状態はもちろん、生活背景を含めてこちらが理解しているという安心感を与えるよう

 に心がけた

・夫婦ともに甘い物好きで、子育てで忙しくしているとますます食べてしまうということで、

 ステファンカーブについて説明したり、う蝕のリスクが高い部分について伝えた。

                      咬合面、う蝕治療部位、修復物周囲、

                      歯間部、露出した根面

③ 再び働き盛り、介護もスタート

・親の介護が始まり、そういう時ほどメインテナンスが重要であることをお伝えし、介護を通じて、

 口腔の重要性を再認識してもらえた

出産後子供が3歳の時に一緒に来院し、親子のメインテナンスに繋がった

 

感想

歯科衛生士は患者さんに寄り添い、患者さんをサポートしていかなければいけません。患者さん一人

一人の生活習慣、生活背景を知り、その時の状況に合わせて対応ができるように努力していきたい

です。

                         衛生士 松本

  2019/06/23   ふくだ歯科

口腔粘膜疾患識別ガイドについて、勉強会で発表して

1・口腔粘膜ってなんだっけ?   

 口腔粘膜はからだの状態を映し出す鏡     

  口腔はからだの中で唯一直視できる臓器。口腔粘膜の変化を見分けて、病変が口 腔に限局した原因

  で起こっているのか、あるいは全身的な問題や薬の影響による ものかを予見する知識も必要。

 機能の低下により罹患リスクもアップ     

  加齢が進むと口腔粘膜は免疫機能が低下し、また再生力も低下。高齢者におい ては、ブラッシング

  が不十分になるなど口腔衛生の自己管理能力が下がったり 唾液分泌量が低下することなど口腔環境

  が悪化する。   

 口腔粘膜の役割     

  ➀細菌などの侵入を防ぐ     

  ②下部組織からの体液の流出を防ぐ     

  ③感覚器官として痛覚、触覚、温度覚を伝える     

  ④粘膜下組織の細胞に情報を伝達し、免疫的防御機能を担う

 

2・口腔粘膜疾患データベース   

 口腔粘膜を診る時の基本は「色」です。     

  正常な口腔粘膜の色は「ピンク」     

  口腔粘膜疾患「白」「赤」「黒」「黄」の4色に分類することができる    

 白色病変      

  上皮の細胞に異常が生じると、角化細胞層や有棘細胞層が厚くなり、本来、14 日間で剥がれ落ちる

  細胞が残ってしまう。それにより、粘膜下組織の血管(ピ ンク色)が透けて見えず、粘膜面に

  当たった可視光線が乱反射し、白色病変と して観察される。              

  口腔カンジダ症     口腔扁平苔癬      白板症    

 赤色病変      

  紅斑は盛り上がりのない赤い色の変化のことで、多くは毛細血管の炎症充血 によって赤く見える。

   紅板症     正中菱形舌炎    多形滲出性紅斑    

 黒色病変      

  メラニン色素など色素沈着により黒く見える。      

  おもに、びまん性の変化で色素性母斑、外来性色素沈着、黒毛舌があるが、悪 性黒色腫の場合が

  あるので要注意。

  アジソン病やポイツイェーガー症候群など、口腔内に色素性沈着がみられる全 身疾患もある。     

 黄色病変      

  生体にはカロチノイド、ルテインと呼ばれる色素があり、これらは脂肪に溶け て存在することが

  多く、粘膜を通して黄色に見える。          

  Fordtce斑(皮脂腺)    脂肪腫    疣贅性黄色腫(極めてまれである)

 

  口腔がんに要注意!     

  粘膜疾患の中でも、その重篤さからとくに気をつけたいのが前がん病変。     

  がん化する可能性のある疾患は、白色病変、赤色病変に多く、とくに気をつけた い疾患名では

  前がん状態は「口腔扁平苔癬」、前がん病変は「白板症」「紅板病」。

  口腔がんの約90%は口腔粘膜を起源とするもの。

  好発部位は舌で全体の約40%を占めそのほとんどが舌縁部に発生する。

  次に歯肉で、約30%を占める。上下顎ともに臼歯部歯肉に多くみられるが、 下顎の発生率は上顎の

  約2倍。

 

【感想】     

口腔粘膜疾患のなかには患者さんの生死にかかわるものや、全身疾患との関連が 疑わしいものもある

ので、定期的に患者さんの口腔内を見ていく中で観察力を鍛 える必要があると思いました。             

                                  衛生士 赤木

  2019/06/02   ふくだ歯科
タグ:口腔粘膜