スタッフレポート

2018年6月

「第6回頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」講演会に参加して

1.SPTとメインテナンス

SPTあるいは移行するかの判断には、プロービング時の出血、PD、プラークの付着状況、歯の動揺、

歯槽骨の吸収、根分岐部病変検査による再評価が必要となる。

2.メインテナンスの分類

メインテナンス分類には、「予防的メインテナンス」「治療後メインテナンス」「試行的メインテ

ナンス」「妥協的メインテナンス」の4つがある。患者によって動的治療のゴールが異なる以上、

メインテナンス患者のリスクは千差万別であり、プログラムの内容やリコール間隔も異なってくる。

ここの患者に適したメインテナンスを行なううえで、メインテナンスの分類は1つの指標となる。

※動的治療には、非外科療法と外科療法があり、外科療法はさらに切除療法、組織付着療法、

再生療法、歯周形成外科療法に分かれる。

⑴予防的メインテナンス:歯周病菌の感染や組織の破壊がほとんど認められない患者のメインテナンスを

    いう。そのため、セルフケアのチェックと歯肉縁上を中心とした細菌バイオフィルム破壊、PMTCを

    行う。予防的メインテナンスはリスクが最も低いため、最も長くリコール間隔を設定することが可能

    であるが、あまり長くしすぎるとセルフケアレベルの維持ができないことがあるので注意が必要。

⑵治療後メインテナンス:初診時にあった高いリスクを外科療法を含めた動的治療で改善し、安定した

    後に行うメインテナンスをいう。ただし改善度によってメインテナンス移行時のリスクの程度は

    異なるため、メインテナンスプログラムは変わってくる。また、行われた動的治療によっても治癒

    形態は異なるため、それぞれに適したメインテナンスが必要となる。

⑶試行的メインテナンス:動的治療が微妙な結果で終わったためさまざまな不安を抱えたまま行なって

   いくメインテナンスをいう。メインテナンス時には深いポケットや骨欠損などが存在するため、

   ハイリスク部位を中心に監視する。さらに、新たな問題が発生しないように、ローリスク部位に

   目を配る。セルフケアには限界があるものの、プロフェッショナルケアが成功の必要条件である。

   SPTを継続して行う。

⑷妥協的メインテナンス:動的治療が妥協的ゴールで終わっている最もリスクの高いメインテナンスを

   いう。ハイリスク部位をたくさん抱えているため、メインテナンス時に悪化する可能性は高く、

   歯肉縁下の細菌バイオフィルム破壊を徹底的に行う必要がある。また、深いポケット内では細菌の

   後戻りが早いため、リコール間隔短い方が好ましい。

3.長期的な安定

歯周治療成功=メインテナンスの成功と言える。歯周治療を成功させ、長期的な安定を得るためには

患者教育が重要となる。

⑴患者教育

   患者教育では、歯磨き習慣を含めた生活習慣の見直しを行い、その改善を促す。さらに、正しい

   プラークコントロールの方法を身につけるためにTBIを行う。

 〈ポイント〉

   ・歯周病の回復にはセルフケアとプロケアの両方が必要である事を理解してもらう。

   ・歯肉や骨などの病態の説明を行う。

   ・TBIでは重要なポイントを絞ってあまり多くは伝えない。

   ・染め出しなども効果はあるが、歯面がツルツルしているなど舌感で自覚する方が良い。

 

感想

    今回の講演を聴いて、メインテナンスにも種類があるということを知れました。お話の中で、歯科衛

    生士は患者さんに寄り添い、ポジティブな意識をもたせることが歯周治療では重要になると言われて

    いました。一方的な伝え方にならないよう、患者さんが何を希望しているのかを把握して口腔内を

    より良い状況に持っていけるようにしたいと思いました。

                              衛生士  星島

  2018/06/27   ふくだ歯科

「歯医者さんが怖い子がニコニコ通えるように」について、勉強会で発表して

子どもが歯科診療を受け入れられない理由

 歯科治療の必要性を理解できる年齢ではないから

   (コミュニケーションがとれるようになるのは3歳頃から)。

   過去に嫌な思いをしたから、など。  

これ以上怖いイメージを抱かせないために

・明るく挨拶し、コミュニケーションをとる。

・「今日はお話とお口の中を診るだけだからね」とその日に行うことを約束する。

・保護者の表情や言動に大きく影響を受けるので、保護者も安心できる雰囲気や環境、

   人間関係の構築が大切。

 保護者に協力してもらいながら、患児とラポール(信頼関係)の形成を行う。 

信頼関係をつくる基本姿勢

1、 約束を守る

2、 嘘をつかない

3、 無痛的処置を心がける

4、 短時間で処置を終える

5、 できたことは小さいことであっても褒める  

行動変容法  

・TSD(Tell-Show-Do)法・・・わかりやすい言葉(Tell)で、実物を示しながら(Show)伝え、

                                            体験させる(Do)。  

・カウント法・・・「10秒間だけやってみよう」などと時間を区切る方法。  

・オペラント条件づけ法・・・子どもが治療に協力的であれば褒める。

                                             非協力的な時は、行動の制止や禁止を言葉や態度で示す方法。

                                             タイミングよく行うことにより、好ましい行動を強め、好ましくない

                                             行動が消去される効果がある。  

・モデリング法・・・自分以外の人の行動や行動の結果を観察することによって新しい行動様式を

                               獲得させたり、反応パターンを変容させたりする方法。

                               他の患者さんの治療を見学させることにより、理解を早め、それを模倣させる

                               ことにより、適応行動を引き出す。  

☆複数の方法を併用して行うと効果が高いといわれている。  

 

感想・・・小さなお子様が来院された時に、参考にしたい内容だった。恐怖心があると、チェアに

            座る事でも回数がかかるかもしれないが、しっかりと向き合い対応していきたい。

                                                                                                                           衛生士 岡本

  2018/06/17   ふくだ歯科
タグ:小児

「予防歯科Q&A-常識を再考するー」講演会に参加して

今回は、講演の中の一部をレポートにします。

① シーラントが外れた歯はう蝕になりやすい?

 →シーラントが外れた歯は何もしてない歯に比べてう蝕になる割合が有意に減少しているとの

  論文あり。

 ラバーダム防湿と簡易防湿で差がある?

  →シーラントの保持率に差はなかったとの論文あり。

② 食後30分以内の歯磨きは危険?

 誤って報道されたそうです。本来は酸性食品(試験管内で炭酸飲料水(PH3)に象牙質を

 90秒浸漬)摂取後です。ただ、唾液に15分浸漬したら元の構造に戻るとのデータがある

 ので15分経てば良いかも?

③ ブラッシング回数は多いほど良い?

 ・1日のブラッシング回数とう蝕の発生について

  今の所3回以上が有効とのこと。もしかしたらフッ素に触れる機会が増える為かも

 ・1日のブラッシング回数と歯周病の発症について

 歯周病の定義、ブラッシング回数が文献によって異なるので一度に比較するのは困難である

 ことを前提として「ブラッシング回数が増加すれば歯周病が少なくなる」という明確な関係

 はみられないとのこと。

④ 重曹の入った歯磨剤の効果は?

 重曹を使用すると色素は取れても歯の表面は傷つけない。悪くはないかと思うとのこと。

⑤ お勧めの電動ブラシ、お勧めの洗口剤は?

 ・音波ブラシではなく、歯ブラシがグルグル回る方が良いのではないかとのこと

  (論文等を信用するのであれば)

 ・歯周病に効果が期待できる洗口剤は?

  グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジウムが入っている洗口剤がお勧め

  グルコン酸クロルヘキシジン:バトラーCHX洗口液

   塩化セチルピリジウム:薬用モンダミン、ガムデンタルリンス

⑥ 歯周病と糖尿病

  研究                   仮説                    評価

 横断研究            歯周病が重症であれば、 糖尿病も重症        正しい

 縦断研究 コホート研究   歯周病が重症化したら、 血糖コントロールが悪化   正しいかな

    介入研究                           歯周治療によって 血糖コントロールが改善    よく分からない (賛否両論)

⑦ 保健指導について

     →責任を取る気も無く100%正しいことを言うだけで、人の役に立とうとするのは虫がよすぎる

     →「何もしないことに全力をあげる」(傍にいてあげるだけ、看るだけ)

     →doingでなくbeing 患者に寄り添う術者磨き、being(触覚>聴覚>視覚)が大切

 

感想

講演の中で「すぐに役立つものはすぐに役立たなくなる」最後は自分で判断するといわれていました。

最近ではインターネットなどですぐに色々な情報を得ることができますが、しっかりと自分で判断し

分析することが大切だと思いました。患者さんに正確な情報を伝え、患者さんにしっかりと寄り添い

ながら日々の診療に取り組みたいです。

                             衛生士  松本

  2018/06/10   ふくだ歯科
タグ:予防歯科