第4章 歯周病になると何が起きる?
●歯周病には2つの段階がある
「歯肉炎」…初期の段階。歯茎に炎症が起きた状態。
「歯周炎」…歯茎だけでなく、歯の奥にある組織に炎症が広がった状態。
●歯周病は、歯がグラグラになるまで痛みがない
→だからなかなか気付けない = サイレント・ディジーズ
(静かに進行する病気)
●歯周病でお口がくさくなるのは、ポケット内のエサを食べた歯周病菌が
オナラをするから!
第5章 歯周病が他の病気の原因に!?
歯周病が身体に及ぼす影響
●心臓の病気…狭心症・心筋梗塞
●脳の病気…脳梗塞
●妊婦さんの病気…早産・低体重児出産
●その他…糖尿病、誤嚥性肺炎、関節炎、腎炎、
メタボリックシンドローム、骨粗しょう症
◆歯周病の菌は、血管を通って体の中に入っていく。
お口だけでなく、体にも悪さをすることがわかっている。
◆歯周病の人が病気になる確率
(例)心筋梗塞…2倍 低体重児出産…7倍
第6章 歯周病はどうやって予防する?
歯周病になりやすい人
◇たばこを吸っている人…ニコチンのせいで歯茎に栄養がいかなくなる。
細菌と戦う体のチカラが弱まる。
◇糖尿病の人…免疫の機能が下がり、歯周病菌に負けてしまう。
◇骨粗しょう症の人…骨がスカスカになる病気で、歯を支える骨にも影響
が出る。
◇妊娠期・思春期・生理中の女性
…この時期に多く分泌される女性ホルモンが、歯周病菌のエサになる。
◇更年期の女性…女性ホルモンの分泌が減ることで唾液の量が少なく
なり、細菌が増えやすい環境になる。
◇歯並びや噛み合わせが悪い人…一部の歯に負荷がかかることで、
歯の周りの組織に一時的に血が通わなく
なり、歯周病を悪化させる。
◇家系に歯周病の人がいる…免疫の力が歯周病菌に対してのみ弱い、
という人がいる。
その体質が遺伝する場合がある。
◇高齢の人…細菌と戦う免疫の力が加齢とともに弱くなる。
◇メインテナンスに通っていない人
…歯周病の原因になるバイオフィルムが常に口の中にある。
歯医者さんで行なう主なリスク評価の項目
●ポケットの深さ5ミリ以上の部位が何ヶ所あるか
●プロービングしたときに、血が出るところがどのくらいあるのか
●歯を支える骨の溶け具合
●28本の歯のうち何本を失っているか
●全身疾患・遺伝の有無
●生活習慣(たばこや食生活など)
予防方法
①歯医者さんにメインテナンスに通う
歯周病菌の住処であるバイオフィルムを、お掃除してもらう
→メインテナンスに何ヵ月ごとに通うかは、その人の「歯周病の
なりやすさ=リスク」に応じて決まる
②おうちでもしっかりケアする
→お口をお掃除する道具は、普通の歯ブラシの他にワンタフトブラシ
やデンタルフロスなどがある。
おまけ 「だから、歯って大事なんです!」
Ⅰ、歯があるから美しい
私たちの歯は、歯槽骨に支えられていて、その歯と歯槽骨は歯根膜と
いう細かくて弾力のある繊維でつながっている。これは、物を噛んだ
刺激を脳に伝えたり、噛んだときの衝撃が頭や顎に行かない仕組みに
なっている。
歯がグラグラになって抜けてしまうのは、歯そのものが弱くなるから
ではなく、歯の周りの組織がダメージを受けて形が変わる為→
よって、歯が無くなると顎が細長くなり、顔つきも変わってしまい、
いわゆる老人性顔貌になる。
Ⅱ、歯があるから仕事に集中できる
歯根膜は三叉神経という脳の一番太い神経につながっていて、脳の
様々な部位を活性化する。
・運動をコントロールする運動野
・思考やコミュニケーションを取るときに働く前頭前野
・感覚を司る感覚野
・記憶の中枢である海馬
・意欲と深く関係する線条体
Ⅲ、歯があるから笑顔になれる
「表情筋」…物を食べるときにも使われており、知らないうちに鍛えら
れている。
歯が無くなれば当然運動が減るため、様々な表情をつくる筋肉は
衰えてしまうことになる。
Ⅳ、歯があるからおいしくご飯が食べられる
噛み切ったり、噛みしめたりすることで、しっかりと味わうことが
できる。
【感想・考察】
今回この本を読んでみて感じたのは、全体を通して分かりやすく書かれて
おり、患者さんへのTBIの参考になると思いました。
歯周病が段々と認知され始めてはいるものの、歯周病がどんな人にリスク
があるのか、また何故歯周病になると良くないのかといった情報はあまり
知られていないように感じます。
この本を参考に、患者さんへより分かりやすく説明・指導をし、私たちと
患者さんとが協力し合ってお口の健康を守れるよう努めていけたらいいな
と思いました。
衛生士 河本