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スタッフレポート

「バイオフィルムを管理する予防歯科」について、勉強会で発表して

う蝕の最新病因論

⒈ う蝕原性菌

     ミュータンスレンサ球菌は間違いなく最強のう蝕源性菌であるが、21世紀になって、ミュータンス

     レンサ球菌以外の酸産生菌も、う蝕発症に関わっていることが明らかになった。

     <20世紀の常識>

     う蝕原性菌

     ・ミュータンスレンサ球菌

     ・ラクトバチラス

      う蝕誘発性糖質

     ・砂糖(ショ糖)

     <21世紀の常識>

      う蝕原性菌

      ・ミュータンスレンサ球菌

      ・ラクトバチラス

      ・ビフィズス菌

      ・Scardovia wiggsiae 種

      ・Actinomyces 種

      ・Veillonella 種

       う蝕誘発性糖質

       ・発酵性糖質  

           ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理デンプン

        砂糖(ショ糖)はミュータンスレンサ球菌が不溶性グルカンを作るために必要であるため、う蝕

        予防の食事指導は「甘い物を避けなさい」であったのである。しかし、新たにう蝕原性菌に加え

        られた細菌種は不溶性グルカンは作らず、歯面に付着したバイオフィルムの中で酸を産生する

        ため、ショ糖が制限されても影響は少ない。

 

⒉ う蝕原性バイオフィルムのMicrobial shift

     う蝕原性菌はショ糖だけではなく、他の発酵性糖質(ブドウ糖、果糖、調理デンプン)を摂取して

     乳酸などの有機酸を産生し、歯を溶かす。ショ糖が制限されても、その他の糖質摂取によって、

     バイオフィルムのpHは酸性に傾く。そして酸性環境を好む菌種が増殖しMicrobial shift が起こり、

     う蝕原性の高いバイオフィルムへと変化してしまうのである。

   「甘い物を避けなさい」の食事指導は変わらなければいけない。調理デンプンもMicrobial shift の要因

     となるため、麺類や粉物にも注意が必要。

 

⒊ う蝕の治療

    21世紀になって、う蝕という疾患は「脱灰と石灰化のバランスが偏っている状態であり、う蝕=

    う窩ではない」という考えが浸透した。脱灰因子と防御因子(脱灰を防ぎ石灰化を促進する因子)の

    間のバランス崩壊が、う蝕の発生原因である。 このバランス崩壊はバイオフィルムの周囲環境(特に

    栄養環境)の変化によるMicrobial shift が原因である。

    疾患の治療は病因除去である。う蝕の原因はMicrobial shift であるため、高病原化したバイオ

    フィルムを低病原性に戻すことがう蝕の治療である。つまり、脱灰因子を減らし、防御因子を増やす

    ことであり、削って詰めることではない。 改善すべき脱灰因子は、食事内容・回数(バイオフィルム

    栄養環境)とう蝕原性菌量(バイオフィルムの量)である。また、含嗽剤や唾液分泌刺激などにより

    バイオフィルムのpHを中和に向かわせる工夫も必要である。防御因子の強化には、フッ化物による

    歯質強化、クロルヘキシジンによる殺菌、フィッシャーシーラント処置、生活習慣指導、あるいは

    早期治療などの対応が有効である。

    Microbial shift

    バイオフィルムを取り巻く栄養、温度、嫌気度、pHなどの環境変化によって、細菌達にとって好ま

    しい生育環境がもたらされることにより起こる常在菌。Microbial shiftによりバイオフィルムと歯・

    歯周組織の間の均衡が崩れ、う蝕や歯周病が発症・進行する。

 

感想

    う蝕の予防には脱灰と石灰化のバランスが大切なことが分かりました。防御因子の強化ではフッ素

    塗布をよく行っていますが、患者さんの中にはフッ素を塗っていれば大丈夫と思っている方もいる

    かもしれないのでフッ素の効果に加えて普段の生活習慣、食事習慣についても少し触れていけたら

    と思いました。

                                     衛生士 松本

  2019/12/31   ふくだ歯科
タグ:虫歯予防