高齢者と唾液
唾液腺の機能は、加齢につれて低下し、唾液が十分に出なくなる。
唾液には口中のpHバランスを整えたり殺菌したりする作用があるが、唾液の分泌が減ると、虫歯や
歯周病にもかかりやすくなってしまう。食べ物をかむことによっても唾液の分泌は促されるが、高齢者
は歯に問題を抱えていることが多く、かむことがおろそかになって唾液が出にくいこともある。
また、持病の薬の副作用で口が渇くケースもある。
唾液腺マッサージと舌運動
耳下腺…左右の上の奥歯あたりのほおに指を当て後ろから前に円を描くように10回刺激。
顎下腺…顎のカーブの内側を耳の下~顎先にかけて左右5ヶ所程場所を変え各5回押す。
舌下腺…両親指をそろえて顎の真下を10回刺激。
舌運動…前に大きく3回、左右に大きく3往復、唇をなめるように舌先で3回円を描く。
歯周病と口腔ケア
歯周病が悪化すると誤嚥性肺炎の原因になることもある。加齢で飲み込む力が弱り、口中の細菌が
誤って肺に入って肺炎を引き起こしてしまう。その為、口中を清潔にして細菌を減らすことが重要
である。歯ブラシだけでは歯全体の7割ほどしか磨けない為、歯間ブラシやデンタルフロスの併用
が有効である。手磨きよりも短時間で効率よく磨ける電動歯ブラシも役に立つ。口腔ケアにより、
高齢者の肺炎発生率が大幅に減少したという調査結果もある。
シニアの口腔ケアのポイント
・唾液腺マッサージや舌の運動を習慣にする
・食事はよくかむことを心がけ、タンパク質や鉄分、ビタミンCをしっかりととる。
・かかりつけ歯科医を持ち、年2~3回は診てもらう
【感想・考察】
高齢者の唾液分泌減少は、ただ加齢だけによるものではなくそれに関連する様々な因子が影響し合って
生じているので、出来るだけ多くの歯を残すことが体全体の健康に繋がるのだと再認識できました。
特に、若年者と高齢者とは口腔内のリスク部位が違うため、より意識的に観察を行ない、TBIへと
活かしていけたらいいなと思いました。
衛生士 河本