プロービング深さと出血の有無、歯肉の感触
プロービング深さ…プロービング深さを正確に読み取ることは、プロービングの基本中の基本。
プローブを正しくポッケト内に挿入できてこそ、正確なプロービング深さを計測
できる。そのためには、①正しい把持②正しいレスト・挿入方向③根形態の把握
が必要である。
出血の有無…プロービング深さと同じくらい重要なのが、BoPである。これによって、軟組織の炎症の
有無が把握できる。その日だけではなく、患者さんの日頃のプラークコントロールの
状態、歯肉縁下のバイオフィルムの有無を教えてくれる。同一部位のBoPを継続的に診る
ことで、その部位の将来的なリスクも把握できる。
歯肉の感触…プロービングの際には、プローブの先端で必ずポッケト底に触れる。歯肉の抵抗力がどの
くらいなのか、厚いのか薄いのかは、一人ひとり全く異なる。歯肉の感触を確かめること
で、炎症の程度など歯周病の病態を察することができる。
姿勢とレスト
姿勢…口腔内が見えるようにライトを入れる。施術しやすい高さに椅子を調整する。
背筋が伸びている。
レスト…プロービングを行う際、レストは必ず置くようにする。プローブの操作は、先にレストを置い
てから行う。口腔内・外、どちらでも構わない。レストを置くことで、プロービング圧が安定
し、細かな動作がしやすくなり、歯肉の感触も伝わりやすくなる。レストを置かずにフリーハ
ンドで操作してしまうと、歯周組織が傷つけてしまう可能性があり、術者にも負担がかかる。
お悩み1最後臼歯遠心にプローブがうまく入らない
① お口は小さめに開けてもらう
開口量が少ない方が、頬粘膜がよく伸び、ミラー操作がしやすく、術野を確保できる。
② プローブは水平に入れる
最後臼歯遠心をミラーでとらえたまま、プローブを持っていく。この時、プローブを水平にしたまま
最後臼歯遠心まで運ぶ。
③ 最後臼歯遠心に到達したら、プローブの先端を挿入方向に向ける
最後臼歯遠心までプローブを運んだら、プローブの先端を目的の部位に向ける。この時、軽い執筆状
変法で把持できていることがポイント。
④ プローブの屈曲を利用しながら挿入する
最後臼歯遠心にプローブを向けたら、プローブの屈曲を利用して、大臼歯の豊膨を避けるようにやや
プローブを遠心に傾けます。
お悩み2ミラー視がよくわからない
① 無理なく見える位置に調整する。
② ミラーを歯肉に当てないように操作する。
ミラー操作ひとつで、患者さんに術者の技量が伝わる。丁寧・上手だと感じていただけるか、雑・下手
だと感じさせてしまうかは、細かい操作によって差が出る。
③ 直視が難しい部位こそミラー視を
前歯部唇側や近心など、直視できる部位に関しては直視のほうが確実。口蓋側や舌側、遠心などは
ミラー視を行う。
プロービングを受け入れてもらうための気配り
☆事前説明の際は、患者さんによって伝え方を変える
プロービングによる検査の目的はもちろん、歯肉を触っていく検査であること、歯肉の状態によっては
痛みをともなう場合もあること、痛みがある場合には我慢せずお知らせいただきたいことを、事前に
きちんとお伝えする。自分がどのような伝え方したらその方にとって信頼と安心を感じていただける
のかを意識するようにする。
☆施術中の声掛けも忘れずに
施術中も、プローブ操作に没頭することなく、適宜声掛けをすることを忘れないようにする。お口を
開け閉めしていただいたり、お顔の向きを変えていただくなど、ご協力いただいた際には、お礼の言葉
を伝えるとよい。
☆歯肉・患者さんの様子によっては、圧を微調整する
歯肉の厚みや炎症の有無によって、丁寧に歯肉縁下を触っていくことが大切。「プロービング圧は20
~25g」という基本に忠実に従ったうえで、必ずプロービングを行う部位の歯肉の状態を確認し、
患者さんの表情や身体の強張りなどにも配慮し、場合によっては微調整しながら行う。
☆出血がみられる場合は、口をゆすぐ前に伝えておく
お口をゆすいでいただく前に、出血がある旨をお伝えしておくと、比較的スムーズに受け入れていた
だける。私たちにとっては当たり前のことでも、患者さんにとっては意外なこともあるので、気配り
が必要。
☆プロービングが終わってからのコミュニケーションも大切
術後にもしっかり声掛けすることを忘れない。患者さんにご自身の気づきを聞ける貴重なチャンスにも
なる。
〈まとめ〉
プロービングは、歯周組織の状態を把握するうえでとても重要な検査である。プロービングから得ら
れる情報をしっかりと読み取り、活かし、患者さんに理解していただき、歯周治療の成果へ繋げていき
たいと思う。
衛生士 関口