可撤式義歯を装着している患者さんに歯科衛生士ができること
昨今、「80歳まで20本の歯を残そう」というスローガンを掲げた8020運動が効を奏し、高齢者でも残存する歯数が多くなってきた。しかし、それでもそうした患者さんに全く欠損がないとは限らない。可撤式義歯を装着している患者さんの義歯を含めた口腔内の健康を、担当歯科衛生士としていかに長期間維持するかをテーマに、下記のポイントをふまえながらメインテナンスを行う。
メインテナンスで義歯を診るときのポイント
●義歯の状態
・義歯床(破折線、破損、破折、変形)
・維持装置(クラスプ、レスト、アタッチメントの破損・破折・変形)
・人口歯(咬耗、破折、脱落、変色)
・装着状況(夜間装着の有無)
・清掃状態(義歯洗浄剤の使用状況)
●義歯を支え歯
・力の問題(歯根膜腔の拡大、歯の動揺、チッピング)
・う蝕の発生(根面う蝕、二次う蝕)
●床下の粘膜
・床との不適合(歯槽堤の変化、粘膜の変化、義歯性潰瘍)
・粘膜の圧痕(クレンチング)
・日和見感染(カンジダ症)
実際の義歯調整・修理は歯科医師が行うが、歯科衛生士が事前に上記のポイントをチェックし、小さな変化、または異常を察知し、歯科医師に報告する。
◇新たに義歯を作りたい患者さんに、義歯を作る前に聞いておきたい事
現在の義歯のどんな点に不満があるか。ex…よく噛めない。(噛むと歯茎が痛い、傷ができやすい、片側で噛むと反対側の義歯が動く) ぴったりフィットしていない。舌触りが悪い。外観。義歯が壊れた、欠けた。etc…
以前作製した義歯装着に抵抗がある患者さんや、初めて義歯を作製する患者さん、それぞれに合った義歯作製やメンテナンスの計画をたてていく事が大事となる。
〈感想〉 患者さんに、義歯と上手に付き合って貰えるように、私達が細やかな変化に気付く事が重要だと思った。できれば、義歯に至った経緯なども知り、今後どう診ていくか考え、アドバイス出来るようになりたい。
歯科衛生士 千田